読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第10章 リアル・オプション理論

前回の 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第9章 ゲーム理論2 の続きを読んでいきます。

ここに来てようやく第10章、第1部(第1章〜第10章)をすべて読破したことになります。

やったー!

読破という言葉が適切だと思うくらい分厚い本ですが、すらすら読めるせいか、まだ読書メモが続いているのが嬉しいです。

ただページ数的には、まだ 1/4 くらいを読み終えたところで、 あまり気負わずに暇な時に少しずつ読んでいきたいところですね。

最近ちゃんと読書時間のログを取っているのですが、 どうやらこの本1章分を読みはじめて、ブログにまとめ終わるまでが1時間半〜2時間ほどらしく、 読むだけなら30分程度、あるいは30分かかってないのかなーという感じです。

まあこれくらいなら気軽に投稿できそうです。

「ここの理解少し間違ってるよ」などあれば、どしどしご指摘いただければと思います。

『第10章 リアル・オプション理論』の概要

第10章はまとめるとこんな感じの内容でした。

  • リアル・オプション理論 とは、不確実性の大きい中、 事業を小さく始めて、あとで不確実性が下がることを期待して残りのオプションを検討する 的な話
  • リアル・オプションのアプローチのメリット4つ
    • ダウンサイドの幅を抑える
    • アップサイドのチャンスを逃さない
    • 不確実性が高いほど、オプション価値は増大
    • 学習効果
  • リアル・オプションがいつ有効なのか?万能薬ではなく一定の条件下で有効
  • さらに 不確実性自体にも種類がある

リアル・オプションとは

この章の序盤に、以前からの事業評価の定番手法みたいなものが紹介されていたのですが、 ざっくりとしか書かれておらず、詳しくはファイナンスの教科書見てくれ、的なことが書かれているので、 従来と比較してうんぬん、という話は私にもよく分からないのですが、 リアル・オプションが何なのか?を端的に言ってしまうと以下の通りです。

  • 事業を(構想よりも)小さく始める
  • あとで不確実性が下がることを期待する
  • 下振れしたら撤退しちゃう、上振れしたらさらに拡大しちゃう(コール・オプション)

ミャンマーのコーヒー市場の例が紹介されていますが、 今後10年で平均15%成長かもしれないが、逆に2%成長程度に留まる可能性もある、という不確実性の高い状態 では、 間を取って8%くらいの成長率を想定したり、もうちょっと控えめで無難な5%くらいを想定したりと、 不確実性が大きいがために、結局事業が行われないことが多くなる ことが従来の手法を用いた例として挙げられています。

一方で小さく始めるリアル・オプションを用いると、以下のメリットがあるよとされています。

  • ダウンサイドの幅を抑える
    • 下振れしたときに損失を抑えられる
  • アップサイドのチャンスを逃さない
    • 上振れしたときに拡大できる(コール・オプション)
  • 不確実性が高いほど、オプション価値は増大
    • 例えばマイナス2%か20%か、みたいな極端に不確実性の高いケース
    • 以前の手法なら間違いなく却下されるが、リアル・オプションだとチャンスに変わる
  • 学習効果
    • 小さく始めていれば、市場の潜在性や顧客の嗜好が学べる
    • 経験が増えることで不確実性が下がる

まさに『スモールスタート』ですね。

リアル・オプションがいつ有効なのか?

有効な時の主な条件として3つ紹介されています。

  1. 投資の不可逆性が高い
  2. オプション行使コストが低い
  3. 事業環境の不確実性が高い(後述)

投資の不可逆性が高いケースとして、工場建設など巨額の固定費がかかるケースが紹介されていますが、 もし最初から大規模に投資してしまった場合、下振れしてしまったら取り返せなくなりますね。 まさにそのようなケースにおいて、リアル・オプションは有効だよとされています。

オプション行使コストについては、後になって上振れした場合に、 「よし、じゃあ追加投資しよう!」となったはいいものの、 当初想定していた以上のオプション行使にコストがかかってしまうと、リアル・オプションの効果が半減してしまいます。 ここでは上場企業への買収となってしまったがために、多額のプレミアムを上乗せしてしまうケースが例として紹介されています。

さらに不確実性自体にも種類がある話

現実問題、マイナス2%から20%のような確率分布で表せるようなシンプルなものではないよ、と紹介されています。

その不確実性について様々な種類分けが行われているらしいのですが、 それについて軽く触れてみます。

  • 内生的か、外生的か?
    • 要するに自らの努力で不確実性を低下させることができるか?
    • 外生的、つまり外からの要因による不確実性であれば、リアル・オプション的な考え方が有効
  • 4つのレベル分け
    • レベル1: 確実に見通せる未来
    • レベル2: 他の可能性もある未来
    • レベル3: 可能性の範囲が見えている
    • レベル4: まったく読めない未来
    • このうちリアル・オプションが適用できるのはレベル2 or レベル3のケースでは?

オプション的な戦略を活用する上で必要なスキルとして、 『事業環境の不確実性を見抜き、不確実性のタイプを絞り込む力』 が必要だ、とされています。

さて、事業環境の不確実性を見抜く力とはなんでしょう?

ここから先は認知心理学の領域

事業環境の不確実性を見抜く力、というのは、人・組織がいかに事業環境を『正確に認知できるか?』ということなので、 範囲として『認知心理学』の分野 なのでは?と触れられています。

まあつまりは、次章以降でその辺も触れていくよということのようなので、 このリアル・オプション理論についても、思考の軸として持っておいて、使えるところで使っていけばいいかなという感じですね。

まとめ

  • リアル・オプション理論を活用して小さく始める
  • 事業の不確実性を見抜くには、認知心理学も応用していく(次章に続く)

良い方に転がるか?ダメな方に転がるか?くらいの選択肢だったら、試しにやってみてダメなら撤退、良いなら拡大しちゃえばいいじゃん、っていうのはまさにその通りですね。

書籍中にもリーン・スタートアップの主張はコール・オプションに極めて近いよ、と紹介されており、 実際に応用がしやすい話なのかな、とも思いました。

参考 URL

もし記事内に誤りなどございましたら、 @girigiribauer までご一報いただけると助かります。