読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第12章 知の探索・知の深化の理論1

前回の 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第11章 カーネギー学派の企業行動理論(BTF) の続きを読んでいきます。

ここから先、認知心理学のターンになってきています。

序章にも少し書いてあったのですが、 第11章〜第17章がマクロ心理学、第18章〜第23章がミクロ心理学、にそれぞれ部が分かれています。

このマクロ・ミクロって何だろう?(元々の意味は概ね知ってる)と思って、 改めて序章を見返してみたところ、 マクロ心理学、ミクロ心理学っていうのがあるらしいですね。

マクロ心理学が組織を一つの単位としてとらえるのに対して、 ミクロ心理学は個人やチームなど、もっと小さい単位でとらえるようです。

ということは、今のターンからしばらくは組織論みたいな話が中心になってきそうってことですね。

本編の方にも本章から15章までイノベーションと組織学習に関する理論を紹介する、とあります。楽しみです。(やはり連続して読んだ方がいいのでは・・・w)

「ここの理解少し間違ってるよ」などあれば、どしどしご指摘いただければと思います。

『第12章 知の探索・知の深化の理論1』の概要

第12章はまとめるとこんな感じの内容でした。

  • 組織学習は、循環プロセスとして以下の流れで説明される
    • サブプロセス1: 組織や人行動 することで 経験 を得る
    • サブプロセス2: 得られた 経験 を通じて、新たな 知を獲得 する
    • サブプロセス3: 生み出された は、 組織・人記憶 される
    • (サブプロセス1の行動である) 知の探索知の深化 は、新しい知を求めたり、今持っている知を活用すること
  • 知の探索 について
    • 新しい知は、既存の知と別の既存の知の組み合わせ で生まれる
    • 人の認知には限界があるので、認知の範囲外にある知を探しに行って、既存の知と組み合わせる必要がある
  • 知の深化 について
    • すでに知っていることをそのまま活用する
    • 新しい商売の種になりうるとなったとき、 徹底的に深掘りし収益化する 必要がある
  • 短期的に考えると知の探索はコストがかかるため、知の探索が行われなくなっていく、これを コンピテンシー・トラップ と呼ぶ
    • 知の探索も知の深化も両方必要、バランス大事

組織学習とは

組織学習は、循環プロセスとして3つのサブプロセスのサイクルで説明できるよ、とされていて、 実際に簡易的な図で紹介されています。

  1. (組織や人)サーチ(経験)
  2. (経験)知を獲得(知)
  3. (知)記憶(組織・人)

サーチ

前章でサーチ出てきましたが、次に出てきた 知の探索 は、この前章のサーチを内包するとされてます。 もうちょっと広い意味でサーチすることを 知の探索 というようですね。

ちなみに本章ではここのサーチの部分をより掘り下げた内容が紹介されています。

知の獲得

知の獲得には3種類のルートがあるよと紹介されています。

  • 知の創造 … 経験で得た知とすでに持っている知を組み合わせて、新しい知を生み出すこと
  • 知の移転 … 技術提携などの外部から知を手に入れること
  • 代理経験 … 同業他社など他社の経験を観察すること、人の振り見て我が振り直せ的なもの

最後の代理経験は、書籍による擬似的な経験とかも入ってきそうですかね。 他の人が経験したことを書籍を通じて読むというのは、圧倒的にコスパが良いとも言われますし。

記憶

どうやら詳しくは別の章で紹介されてるようですが、 何らかの形で組織に記憶されなければ学習したことにはならないよ、とされてます。

まあ確かにそうですね・・・。

知の探索・知の深化について

この組織学習のプロセスのうち、サーチの部分を掘り下げたものが 知の探索・知の深化 です。

まずここでも前提として、人の認知には限界があるよ、というのが(経済学視点と比較しても)重要なことだとされていて、 新しい知は、既存の知と別の既存の知の組み合わせ で生まれるので、 認知の範囲外にある知を探しに行って、既存の知と組み合わせる必要があるよ、とのことでした。

この辺は前章のサーチの話と概ね同じで、探すのにコストがかかるよという話だとかも概ね同じです。

一方で、その知の探索に対立した概念として、 知の深化 というものが提示されています。

これは、すでに知っていることをそのまま活用するなどして、知の探索を行わずに今あるもので何とかする、 さらにそれを掘り下げるといった行為に相当します。

知の探索だけではビジネスにならない

知の探索は素晴らしい!だったら知の探索だけずっとすればいいじゃん!・・・となってしまうかもしれませんが、 実際にはアイデアの組み合わせで出来た新しいアイデアだけでは飯は食えなくて、 それを深掘りし収益化するところまで持っていく必要があります。

いやー、ちゃんとビジネスとして成り立ってる、っていうの、すごく大事ですよ・・・。 大事っていうか前提ですよね。飯食えなくなっちゃう。

この筆者は、両方使えることが大事、つまりは 両利き のような経営を目指すべき、としています。 どうやら次章にわたってこの両利きの話は続いているようなので、続きは次章ということで。

コンピテンシー・トラップ、イノベーションが枯渇する理由

企業・組織はどうしても知の探索が怠りがちになってしまい、知の深化の方に系統しがちだよ、というのが、 大企業によくある『新規事業開発部』とか『イノベーション推進部』みたいな部署の顛末として紹介されています。

この『イノベーション推進部』みたいなのを聞くだけで、概ね「あー」と想像できてしまいそうですw

要するに、立ち上げ時には 知の探索を目指していた ものの、 会社として短期的な収益を考えてしまい、知の探索のコストから考えて、すでに結果が出ている既存の部署に予算を回しがちになってしまう。

つまりは 知の深化しか行われなくなる 、という流れで、これを コンピテンシー・トラップ と呼ぶそうです。

これはあるあるですねー。

まとめ

  • 知の探索も知の深化も両方大事
  • コンピテンシー・トラップこわい

この章ではコンピテンシー・トラップの状況のみがまずは紹介されていて、どうやったら両利きのバランスを取り戻すことができるかまでは紹介されていません。

たぶん精神論じゃない、具体的にこういう風に仕組み化していくことでこうなるよ、みたいなものが紹介されてるんじゃないかなあ、楽しみです。 続きは次章!という感じです。

ちなみにどうでもいいですが、知の探索って diff を取るという話にすごく近くて、 ますます「よーし diff を取っていくぞー!」と思う次第です。

もし記事内に誤りなどございましたら、 @girigiribauer までご一報いただけると助かります。