読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第25章 「弱いつながりの強さ」理論

前回の 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第24章 エンベッドネス理論 の続きを読んでいきます。

どうやらこの「弱いつながりの強さ」理論と、次のやつ(次章)の2つが、 ソーシャルネットワーク研究における2大理論と呼ばれているらしいです。

この第4部の頭にも紹介されていたのですが、 人と人、組織と組織の間のつながりを総称してソーシャルネットワークと言うらしく、 世界の社会学・経営学では極めて大きな研究テーマとなっている、とありました。 人だけじゃなくて組織もなんですね。

何だかその辺意識せずに SNS とかってワードを使ってましたが、 SNS ってそもそも Social Networking Service の略だし、 こういうソーシャルネットワーク研究の話を聞いてから、 改めて身の回りの SNS を見てみるのも面白いかなーと思ったりしたのでした。

今日も1章分読んでいきます。 「ここの理解少し間違ってるよ」などあれば、どしどしご指摘いただければと思います。

『第25章 「弱いつながりの強さ」理論』の概要

第25章はまとめるとこんな感じの内容でした。

  • 「弱いつながりの強さ」理論( Strength of Weak Ties, SWT )
    • 多様な幅広い情報を素早く効率的に遠くまで伝播させるのに、弱いつながりで形成されるソーシャルネットワークのが向いている
  • 弱いつながりを豊かに持つことがイノベーションを引き起こす上で重要
    • 日本には圧倒的に足りてない部分
    • チャラチャラしている社員は社内外に弱いつながりを持つ
  • 大きな組織でイノベーションを実現まで持っていくためには、弱いつながりと強いつながりの両方が必要
    • 弱いつながりが知の探索であれば、強いつながりは知の深化に相当する
    • チャラ男・チャラ娘と根回しオヤジの組み合わせがイノベーションに強い
  • スモールワールド現象、知り合いをつないでいくと6人くらいで誰とでもつながれる 、というのは、 SWT 理論で説明できる
    • SNS によって弱いつながりを維持しやすくなった、世界はどんどん狭くなってきてる

「弱いつながりの強さ」( SWT )理論

SWT 理論でぶっちゃけ言いたいことは、 多様な幅広い情報を素早く効率的に遠くまで伝播させるのに、弱いつながりで形成されるソーシャルネットワークのが向いている 、ということになるんですけど、 それを説明するために、まずブリッジとは何ぞや?って話が紹介されてます。

SWT 理論におけるブリッジとは

2つの点をつなぐ唯一のルートがあるとき、それをブリッジと呼ぶ 、という定義が紹介されていたのですが、 それぞれが直接つながっている場合にブリッジとは呼ばず、間接的に他人を介してつながっているときに、それをブリッジと呼ぶそうです。 (あー、ここから先、グラフ図で見せた方が分かりやすいやつが続くので、テキスト表現難しそうです・・・)

ここで仮に A <-> B, C <-> B が強いつながりでつながっていた場合に、やがて A と C も直接強いつながりでつながるようになってしまい、 ブリッジとはなりえない、という示唆が紹介されています。

  • 交流の頻度、強いつながりにあれば、ともにいる時間も多くなる、結局つながってしまう
  • 心理的効果、親近感を持ちやすい
  • 類似性、両者は似たことに関心をがある可能性が高い

このような理由で、強いつながり上にはブリッジは存在しないとされています。 逆を言うと(対偶になるのか)、ブリッジはすべて弱いつながりになる、とされています。

希薄なネットワークほど、情報伝播の効率が良い

ここでは2つのネットワークの例が図で紹介されているのですが、 1つは閉じた三角形が多く配置されている、強いつながりの多い(ブリッジの少ない)ネットワーク、 もう1つは1辺が欠けた三角形でつながり会う、弱いつながりの多い(ブリッジの多い)ネットワークで、 前者の方が 多様な幅広い情報を素早く効率的に遠くまで伝播させるという点においては有利 、とされています。

このあたりで、弱いつながりで、幅広い情報を効率的に手に入れるという具体事例として、リファラル採用が紹介されてます。

メルカリのリファラル採用事例が紹介されていたのですが、 ミートアップのイベント開催も、有望な人材をゆるやかにつなぐための仕掛けとしても活用されてるよ、とのことでした。

まあこの辺は、 IT/Web 周りが概ねそんな雰囲気があるので、すごく実感するところはありますね。

SWT 理論とイノベーションについて

イノベーションは既存の知と既存の知の新しい組み合わせで生まれる、とされているのですが、 人間の認知には限界があるので、知の探索をしないといけないよ、という話は以前から出てました。

この知の探索に向いているのがまさに弱いつながりだとされていて、 この 弱いつながりをたくさん持っているのが、いわゆるチャラチャラしてそうなフットワークの軽い人 だ、とされてます。

ちなみにチャラ男・チャラ娘って書籍には書かれてたんですけど、チャラ娘って初耳だ・・・。 (性別に限らずって意図なんだろうか・・・)

イノベーションを実践に落とし込むには強いつながりも大事

ここでは弱いつながりこそが善!強いつながりはすべて悪!とは言ってなくて、 強いつながりが人や企業にプラスの効果をもたらす面もあるよ、と紹介されてます。 (ただし、大部分は少し後の章で紹介されるらしいです)

その1つの例として、知の探索、知の深化の例が挙げられていて、 第12章で「知の探索だけではビジネスにならない」って話がありましたね。

from 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第12章 知の探索・知の深化の理論1

ちゃんと深掘りし収益化するところまで持っていく必要があるよって話があったかと思いますが、 まさにここで掘り下げるタイミングにおいて、強いつながりは大事となってくるので、 要は両方大事だよって話がここでも触れられています。

SNS とスモールワールド現象について

章の最後らへんに、スモールワールド現象というのが紹介されていて、 ざっくり言ってしまうと、 知り合いをつないでいくと6人くらいで誰とでもつながれる 、という話です。

これが1960年代にチェーンメールの実験として実際に行われたやつらしいです。

任意の面識のない2人組をピックアップして、もう片方に届くように手紙を出してもらう、という実験を行ったのですが、 自分とつながってない相手に届くように手紙を出す過程で、相手につながってそうなちょっとした知り合いに手紙を出すことになるので、 要は弱いつながりを利用してるんだよ、それが人と人とを効率的につなぐルートになっているよ、と紹介されてます。

一方で、ミクシィの例も紹介されていたのですが、 コミュニティという仕組みで強いつながりを重視していたので、情報のシェアにはそれほど機能しなかった、とあります。

個人的には、フェイスブックもある程度似たようなものかなと思っていて、 あっちはあっちで実名使っているがゆえの強いつながり方面への重力を個人的に感じるので、 ミクシィほどではないですけど、情報の拡散という点ではそこまで強くもないのかなという風には思いますけども。 ツイッターが情報拡散に向いてる、弱いつながりで出来てるっていうのは言わずもがなですね。

スモールワールドがさらに小さくなっていく

で、ここからが面白い話なのですが、どうやらこの6人、というのが、近年 SNS の普及によって小さくなっているらしく、 フェイスブック上では平均4.7人に縮まっている とのことでした。すごい。

SNS がない20年くらい前までは、人はリアルの弱いつながりを維持するのが難しかったものの、 SNS を使って弱いつながりを維持できるようになったがために、弱いつながりが世界中で爆発的に延びるようになっているよ、 スモールワールドがこれからどんどん小さくなっていく よ、と締め括られています。

まとめ

  • 弱いつながりは、情報伝達の面ですごく強い

ちょっと話ずれるのかもしれないんですけど、 強いつながりよりも、弱いつながりの方が気持ち的に楽っていうのも個人的にはあったりするんですよねー。 この辺は別の理論の話なのかなあ。

前章のエンベッドネス理論で、位置的な埋め込み、ネットワークの中心的なポジションにいると良い、みたいな話がありましたが、 これがまさに弱いつながりをたくさん持つこと、と同義なんでしょうかね。 僕も分野が異なる人ともっと知り合いになっていきたいなーと思うところです。

もし記事内に誤りなどございましたら、 @girigiribauer までご一報いただけると助かります。