前回の 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第28章 社会学ベースの制度理論 の続きを読んでいきます。
2/3 のところまで読めました!どやー。
非技術書でこんな分厚い本を読むのはある意味初めてなので、 続くか不安でしたが、楽しくやれれば意外と続くものですね。
さてさて続きを読んでいきます。 「ここの理解少し間違ってるよ」などあれば、どしどしご指摘いただければと思います。
第29章はまとめるとこんな感じの内容でした。
確か資源、リソースに関して競争が優位になるかどうかの話が、第3章にありましたね。
from 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第3章 リソース・ベースド・ビュー (RBV)
リソースを独占しちゃえばいいじゃんという経済学視点の話と、 リソースの依存という関係性に着目した社会学視点の話は、もしかすると言ってることは近いのかもしれません。
今回はリソースに対する話ではありますが、 モノ、カネなどの資源(リソース)の依存関係が、相対的な力関係を生む という社会学の視点に立った話ですね。
第3章でもリソースの話自体は出てきてるので、重複する部分はあると思いますが改めて。
最後の正当性についてもリソースになりうるんですね、ちょっと意外でした。
ただまあ、サービスリリース直後のスタートアップ企業って、取引先企業に有名どころを入れがち、っていうのは確かにあるあるですね。 なるほど、こういうのを正当性リソースって言うんですか。
なお、こういった相手が有利な状況で、交渉で理不尽な要求をしてきたり、こちらに不利な契約条項を盛り込まれたりと、 様々な圧力をかけてきたりします。これを 外部抑圧 というそうです。
最後の例にも出てきますが、日本の部品提供をしている会社って、大なり小なりこういう外部抑圧を受けてそうなイメージがありますね・・・。
この資源依存理論(RDT)、一時期使えねえなー、みたいな流れになったらしいのですが、 その理由の1つに依存関係が双方向で起こりうる、というのが踏まえられていなかったのでは?という主張があったようです。
例として章の最初の方にリチウムイオン電池の例が出ています。
この場合、供給先が複数あれば、リチウムイオン電池を作っているA社だけが強いと言えるかもしれませんが、 売る側がA社のみ、買う側もB社のみ、という状況であれば、互いが互いに強く依存し合う関係になるので、 前者は M&A 少ない、後者は M&A が行われやすくなりますよ、という、 M&A の行われやすさに関する話が紹介されています。
A社からの依存度をX、B社からの依存度をYとして、以下の概念で説明されてます。
| X + Y |
| X - Y |
なんというか、経済学視点のリソースの話っていかにして独占するかの話だったと思うので、 弱者視点でどう大企業と戦っていくか、みたいな話は面白いですね。
まず外部抑圧の抑制の仕方として3つ紹介されています。
抑圧の低減 についてはだいたい想像つきますね。 ある意味リスク分散そのものだと思います。
抑圧の取り込み については、前章で似たような話がありましたね。 アイソモーフィズム、同質化の圧力の中で強制的圧力って話がありましたが、 それに対して非市場戦略でロビー活動とかして中の人を取り込んで、みたいな話でした。
非市場戦略も、抑圧の取り込みも、結局のところは敵となりうるものに対して、その一部を味方に引き込んでしまうということなんでしょうかね。
抑圧の吸収 は、これもある意味シンプルで、相手ごと取り込んでしまおうという話ですね。 こっちはこっちで会社の枠ってどこからどこまでなの?って話が第7章の取引費用理論で触れられてました。
from 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第7章 取引費用理論(TCE)
取引費用理論においては、取引コストの高いか低いかで、内製するか外注するかを決めればいいよ、的な話だったかと思いますが、 関係性における依存が高いかどうかについても、おそらく似たようなことが言えるんじゃないのかなと読んでて思いました。 (もしかすると、経済学、社会学で一定同じことを別の視点で言ってるだけなのかもしれませんね)
とまあ、こんな感じで、外部抑圧の抑制については3種類あるよ、という紹介がされています。
一方で、実際にその辺りを実践して、パワーを回復して飛躍している日本の下請け企業もあるよ、ということで、 いくつか事例交えて紹介されています。
3つほど紹介されていたのですが、中でも愛知県新城市の本多プラスさんの事例が面白いなと思いました。
ここのマーケティング担当者と親しくなり、というのがまさに抑圧の取り込みだよ、と筆者は言っています。
桁が1つ違うってやばいですね・・・。
最後の事例なんかまさに面白いですよね。よく経済番組で特集やってそうな感じの話です。
仮に活用できなかったとしても、こういう理論を把握しているだけで、 今自分の会社がどういうリソースがあって、どこに依存していて、みたいに客観的に考えられるようになるだけでもメリットあるかもです。
どうやって闘うかの戦術は、会社の状況によって全然違うので一概にどうすべきとは言えないでしょうけど、 外部抑圧の抑制の仕方が3つあるので、その3つのどれかで戦えないかな?と考え方のとっかかりになると良いのかもです。
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