使いやすいように、上の方に自分用のインデックスメモを、
下の方に全体を読んだ個人的な感想を書いておこうと思います。
自分用のインデックスメモ
「どういう時にどの理論参考にすればいいんだっけ・・・?」 とか、
「あーあの時読んだやつだけど名前なんだっけ」 とか、
ワンクッション参考にしてから調べるなり読み直すなりをしたいので、
ここに自分用のインデックスメモを残しておきます。
経済学からの話
- SCP理論( Structure Conduct Perform )
- 完全独占に近づければ近づけるほど儲かる、逆に完全競争になればなるほど儲からない、的な理論
- 安定した競争環境のとき、いかにして儲けを出すか?を考えるときに読むと吉
- SCP理論における、実際のフレームワークの話
- 競争環境で実際に競争戦略を考える時に読むと吉
- リソース・ベースド・ビュー( Resource Based View ) (理論?)
- 企業における人材、情報などのリソースも、独占に近づければ近づけるほど儲かる、的な理論
- 真似されないようなビジネスモデルを考えるときに読むと吉
- SCP理論やRBVだけの決め打ちじゃなく、競争環境(競争の型)に応じて戦略変えるべきという話
- 第33章の戦略の話とセットで読むと吉
- 情報の経済学 (理論?)
- 製品・サービスを全部把握している、という完備情報も完全競争に近づく要素になり、逆に情報の非対称性によって逆淘汰が起きる、的な理論
- 情報の非対称性をうまく利用したいときに読むと吉
- エージェンシー理論
- 取引成立後に、その取引内容に合わせて基準を下げちゃう方向にインセンティブが働く、的な理論
- 社内やチームで向いてる方向が違ってるときに読むと吉
- 取引費用理論( Transaction Cost Economics )
- 取引相手しかできないことが増えたりして高くても頼まざるを得ないホールドアップ問題を、どのように解消するかを説明した理論
- 企業内でどこからどこまで内製にして、どこから外注にするか?を考えるときに読むと吉
- ゲーム理論
- 自分と相手の利益(生産量、価格)についての得する動き方、についての理論
- 大きく他社とパイを奪い合ってる状況で、生産量や価格などの戦略を考えるときに読むと吉
- 同時に行うとこうなるけど、先出ししたら状況有利にできる時もあるよ、みたいな話
- 前章に続けてセットで読むと吉
- リアル・オプション理論
- 小さく始めて、状況に応じて上振れしたら拡大、下振れしたら撤退を考える、いわゆるスモールスタート的な理論
- 不確実性が高い中で戦っていかないといけない人が読むと吉
心理学からの話
- 企業行動理論( Behavioral Theory of Firm )
- 人の認知には限界があるので積極的にサーチしていく的な話、組織における意思決定のプロセスの理論
- 現状に満足しがちな人や、成功体験で慢心しがちな人が読むと吉
- 知の探索・知の深化の理論
- 新しい知は、既存の知と別の既存の知の組み合わせで生まれる、知を探しに行ったり掘り下げたりする、的な理論
- イノベーションを欲している人が読むと吉
- 知の探索、知の深化のバランスどうやって取るの?知の探索どこまでやるの?的な話
- 前章に続けてセットで読むと吉
- 組織の記憶の理論、(シェアード・メンタル・モデル(SMM)、 トランザクティブ・メモリー・システム(TMS))
- 共通認識を持ったり、強み弱みを互いに理解したり、誰が何を知ってるかを把握したり、などの知の引き出し方の理論
- チームでなんかやっていくぞ、って人が読むと吉
- 組織の知識創造理論(SECIモデル)
- 暗黙知と形式知のダイナミックな相互作用を表すもので、組織で知を獲得していく理論
- チームでなんかやっていくぞ、って人が読むと吉
- 認知心理学ベースの進化理論
- ルーティンの話で、組織で暗黙知を記憶、保存できたりするし、反面ルーティンが硬直化しちゃうこともある、的な理論
- 新規事業を軌道に乗せたいときに読むと吉
- ダイナミック・ケイパビリティ理論
- 不確実性の高い世の中で、リソースの組み合わせに着目して変化に対応していく、的な理論
- 既存事業が変化の波に飲み込まれつつある人が読むと吉
- リーダーシップの理論
- 他者に変化をもたらす話、管理型で部下と向き合ったり、ビジョンと啓蒙によって部下と向き合う理論
- 唐突に複数人で何かやらないといけなくなった人が読むと吉
- モチベーションの理論
- 人を特定の行動に向かわせ、そこに熱意を持たせ、持続させる話、外発的動機と内発的動機とに分けて考える、的な理論
- 自分自身のモチベーションやチーム内の他の人のモチベーションを考えたい人が読むと吉
- 認知バイアスの理論
- 人には認知の限界があって、留めた情報でもすべてを引き出せないし評価にもゆがみがある、またそれの乗り越え方、的な理論
- 自分の考え、合ってるかな?とか客観的に考えたいときに読むと吉
- 意思決定の理論
- 人は損失をより避けたがる、大きく得をするほど効用は減り、大きく損をするほど鈍くなる、などの意思決定に関する理論
- 自分自身が意思決定したい人や、他人にこっちの都合のいい方向に意思決定して欲しい人が読むと吉
- 感情の理論
- ポジティブ感情・ネガティブ感情が人や組織に与える影響だったり、感情をコントロールしたりする理論
- 個人に限らずチームでも感情の理論を取り入れていきたい人が読むと吉
- センスメイキング理論
- 解釈の多義性を減らして足並みを揃えて、未来を作り出す理論
- ストーリーを語って夢を魅せる必要のあるスタートアップ経営者あたりの人が読むと吉
社会学からの話
- エンベッドネス理論
- 人は常に合理的とは限らない、一定仲良くなった人に対しては、合理性よりも直感の意思決定に頼る、的な話
- 会社以外の人脈をどんどん作っていきたい人が読むと吉
- 「弱いつながりの強さ」理論
- 多様な幅広い情報を素早く効率的に遠くまで伝播させるのに、弱いつながりのネットワークが向いている、的な理論
- 何か情報を伝えたい人、 SNS を活用したい人が読むと吉
- ストラクチャル・ホール理論
- 複数のクラスターをまたぐストラクチャル・ホールをたくさん持ってると得をする理論
- 色んな業種の人とつながることで、もっと情報をコントロールしたい人が読むと吉
- ソーシャルキャピタル理論
- 弱いつながりのブリッジング型、強いつながりのボンディング型の両方つながりの便益があり、バランス取りつつ上手く利用する理論
- 閉じたコミュニティに弱いつながりの仕組みを導入したり、ネットのサービスに信頼性を追加したい人が読むと吉
- 社会学ベースの制度理論
- 人は正当性で行動することがあり、同質化の圧力が生まれたりする、的な理論
- 今まであまり触れてこなかった新しい業界に飛び込むとき、どのような戦略をとるべきか考えたい人が読むと吉
- 資源依存理論
- モノ、カネなどの資源(リソース)の依存関係が、相対的な力関係を生む、的な理論
- 小さな企業に属しているけど、大企業からの外部抑圧をいかに避けるか?を考えたい人が読むと吉
- 組織エコロジー理論
- 業界が生まれて市民権を得て、個体数が増えてやがて死亡率があがる、という生態学になぞらえて業界を見た理論
- 長期的な視点でこれから盛り上がりそうな業界を考えたいときに読むと吉
- エコロジーベースの進化理論
- 生態学からの企業のリソースにおける進化の話、最初は多様化あるけど徐々に同質化していっちゃう、的な理論
- 企業が硬直化しちゃってるかなーと感じ始めてる人が読むと吉
- レッドクイーン理論
- 切磋琢磨による共進化の話や、競争そのものが目的化してしまう、的な理論
- 自身の業界では競争した方がいいのか、競争せずに知の探索した方がいいのか、を知りたい人が読むと吉
筆者のターン
- 経営戦略を中心にした話、経営戦略とイノベーションは不可分
- 企業ガバナンスの話、ステークホルダー(関係者)が多様化してきており、株主以外のステークホルダーが考慮されてきてる
- グローバル経営と国内経営に本質的なメカニズムの差はない、国の境界線とビジネスの違いはイコールではない
- アントレプレナーとは、新結合(既存知と既存知の新しい組み合わせ)を実行する人のこと
- これからは会社の境界線がぼやけていく、アイデンティティとネットワークが大事になってくる時代
- ビジネスモデルとは、ビジネスの全体像を描くもの、経営理論はビジネスを説明できない
- 人とはこういうものだ、という前提が異なると話が噛み合わなくなる、普段から常に「人とは何か?」を強く意識する、的な話
- 理論が理論になるまで、様々な実証分析を掻い潜ってきている、的な話
振り返ってみると、かなり量ありましたね・・・。すごい読んだぜ・・・。
世界標準の経営理論を読んだ感想
3つほど感想です。
- 理論と事象(現実)のバランスが取れていて良い
- 理論に満たないところも、理論未満だけどこんな話があるよと紹介してくれているのが良い
- 1章単位で毎日読むのにちょうど良い
理論と事象(現実)のバランスが取れていて良い
そもそも経営学とか全然知らないど素人の視点から見て、
経営理論が何なのかすらよく分かっていなかったんですけど、
いやもっと言えば、ビジネスが何なのかがそもそも分かっていなかった感あります。
ビジネスってホント幅広いですね・・・。
そんなど素人の自分から見て、単に理論とともに実際にそれが起きている事象もセットで紹介してくれていて、
もっと言えば、単なる紹介だけでなく、
理論から考えると今後こうなるので、
この辺を思考の軸にしていったら良いんじゃない?
といった、次につなげられそうな締め方で毎章終えているのが良かったなと思いました。
理論に満たないところも、理論未満だけどこんな話があるよと紹介してくれているのが良い
ときどき、章ごとの後半で、ここから先はまだ経営理論としてまとまってないよ、みたいな感じの話になるのですが、
そこで終わらずに、筆者視点が一定入りつつも、こんな論文があってこんなことが紹介されている、
的な感じで一定の示唆が与えられているのが頼もしいです。
1章単位で毎日読むのにちょうど良い
まず、全然知らないど素人でも超読みやすかったです。読みやすいし分かりやすい。
ただ、どこから読んでもオッケー!っていうのは、読んでてなんか違うなって思いましたw
やっぱり順番に読んだ方がいいですね。
たぶん時系列で研究されてきた分野ごとに紹介されているような感じだったので、
やはり筆者が書いた順にそのまま読んでいくのが良いのかもしれません。
あと、相当読みやすくなっているとはいえ、
1章ごとの内容は濃いので、一度に全部読むものじゃないなって思うんですよ。
結果的に1章ごとに読書メモを書くくらいのペースがちょうど良かったです。
これ例えるなら、大学の経営学部の、学科ごとの体験講義を受けているようなもので、
1章を読む = 1分野の体験講義を受ける、的な感覚に近いので、
一度に読むというのは、30前後の分野の体験講義を1日でまとめて受けることに等しいんじゃないかって思うわけです。
そんなの脳が理解できるわけないじゃないですかw
なので、1日に1章ずつ、読んでいくのオススメです。
まとめ
色んな経営理論を知って総じて言えそうなところだけ。
- 不確実性の高まり・・・!
- イノベーションは、既存の知と既存の知の新しい組み合わせ!
- 知の探索をとにかくたくさんやると良いぞ!
けっこう色んなところに出てきてますよね、これらのワード。
読んでていいなって思ったワードでもあります。
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