そろそろ ジャックバウアーの真髄、ディレクション能力 についてをご紹介したいと思います。 たかが1ドラマであっても、こういったディレクションという観点で見るだけでも、多くのことに気づかせてくれます。
ディレクションとは、シンプルに言ってしまえば 決断すること です。
ディレクターと呼ばれる人に限らず、物事を進めるにあたって、人は常に決断していかなければなりません。 時間は誰にでも平等にあります。大きな物事を成すためには、時間のない中で多くのことを決断しなくてはなりません。
シーズン2の前半の山場である15話目の名シーンから、そんなあたりのことをご紹介していきます。まずここまでの流れから。
大統領「やべー、ロスで核爆弾が爆発する!早くなんとかしないと」
CTUの人「ようやくテロリスト捕まえて、爆弾のありかが分かったー!」
テロリスト「ぐへへへー。ここの飛行場から飛行機で爆弾運んじゃおうぜー」
CTUの人「確保ー!」
だいたいこんな感じです。
ようやく爆弾の解体作業が始まり、そこへ捜査中に致死量の被ばくをしちゃったジャックバウアーの上司、ジョージ・メイソンがやってきたところからです。
ジョージ・メイソン「俺を殺す代物を拝みに来た」
さすがシーズン1から皮肉を連発していた男は違います。ジャックバウアーの仕事ぶりが気になるのでしょうか。
そして爆弾処理班のスペシャリストがこう結論づけます。
爆弾処理班「分解したり、本体から切り離したりすると爆発する」
ジャックバウアー「爆発を回避する方法はないということか?」
爆弾処理班「そういうことだ」
そしてタイマーの残り時間は55分。ここからのジャックバウアーの判断は見ものです。
さて、もう国内で爆発するしかない、と分かった瞬間、ジャックバウアーは次のことを考えます。
・・・決めることたくさんありますねー。
そりゃそうですよねー。国内で核爆弾が1時間たらずで爆発してしまうのですから。
これを一瞬で考えたうえで、部下にこう指示を出します。
ジャックバウアー「どこかに運ぶしかない」
ジャックバウアー「ここにジェット機がないのは知ってる。一番速度の出る飛行機を見つけてくれ。信頼性のあるのを。」
と、続けざまに大統領に電話をかけます。
ジャックバウアー「何分くらいで結論出せますか?」
パーマー大統領「2つの候補地のどちらか」「数分以内に結論を出そう」
電話を切ったあとすぐに飛行機がいつでも飛べるよう、離陸準備をしつつ、どちらの候補地に決まってもいいように両方の地図を用意させます。
・・・。
決断自体もすごいですが、決断をするための 前提とされる幅広い基礎知識 も持っていなくては、こういう即断即決はそうそう出来ないのではないでしょうか。
これに関しては、Web制作においても全く同じことが言えることでしょう。 手法をそもそも知らないと、いざというときに選択肢として出てきません。『こういう場合には、こういった手法があるんだ』というのは前提として知っておきつつも、その場その場で今持ってる選択肢から 適切な判断、決断 を下していく必要があると思います。
さあ、上記のやりとりの中でジャックバウアーはいくつ決断を下したでしょうか。 物事を成し遂げるというのは、 常に決断の連続 であり、決断するには 選択肢 が必要であり、そのための 幅広い基礎知識 が必要です。 僕もそんなジャックバウアーを見習って精進していきたいなーと思う名シーンです。さすがジャックバウアー。
さて、今回はもうちょっとだけ続きます。
併せて上司のかっこいい責任の取り方だけ、ご紹介しておきます。
セスナ機で離陸したジャックバウアー。爆弾もろとも砂漠に突っ込んで爆発させようというシーンです。
ジャックバウアー「ジョージ、そんなとこで何してる!?」
ジョージ・メイソン「相乗りってやつかな」
ジャックバウアー「どうやって乗り込んだ!?」
ジョージ・メイソン「顔パスさ」
顔パスで相乗りしたジョージ・メイソン。いつも通りの会話をしつつ、ここから良い事言います。
ジョージ・メイソン「死にたいならまあそれもいいだろう。苦悩からも解放される。」
ジョージ・メイソン「まだお前は生きられる、ヒーローに成りたいなら逃げるな。」「覚悟がないと出来んぞ。」
全体的に見れば、爆発を阻止できなかったのですからいわゆるプロジェクトの失敗です。ただ、全力を出し尽くした部下に対しては、 『責任は俺が取るから、お前はこの調子で頑張れ』 と言わんがごとくのかっこいい上司です。
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