前回の 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第5章 情報の経済学1 の続きを読んでいきます。
いやあ、良い本なんだけど、どこからでも読めるってのはやっぱ言い過ぎだなあ。 これも第5章の情報の経済学1をしっかり理解してからでないと、ここ分からなくないかな? (だってタイトルに『情報の経済学2』って書いてありますし・・・)
あとこの辺りの話は、経済学をベースにした『人間は合理的に動く』ってのを前提としてるので、 合理的に動かなかったらどうなの?って問いには答えられない問題は常にありますよね。
もちろんその辺りは別の理論として中盤から後半に出てくるでしょうから、そっちをチラッと読んでみたい気もするんですが、 順番に読まないと理解しづらいところも出てきそうなので、グッと我慢して順に読んでいきたいと思います。
「ここの理解少し間違ってるよ」などあれば、どしどしご指摘いただければと思います。
第6章はまとめるとこんな感じの内容でした。
保険ビジネスの例でモラルハザード問題が紹介されているので、同じように紹介します。
二人のドライバーが保険会社と契約する例です。 保険会社からは誰が事故を起こしやすいか分からず、本人からは事故を起こしやすいかどうかは分かるので、 これは情報の非対称性がある状態です。
このように事故率の高いBさんだけが顧客として契約して、アドバース・セレクションが起きています。
今回はさらにAさんは割に合わないと思いつつも両者が契約した後の続きの話をみていきます。
Aさんが元々保険に入っていないがために注意深く運転してたとしたら、 保険に入ることで注意深く運転しなくても良いというインセンティブが働くことになってしまいます。
この問題を モラルハザード問題 、あるいは エージェンシー問題 と呼ばれ、 このメカニズムや対処法を考えるのが エージェンシー理論 、または プリンシパル=エージェント理論 と呼ばれます。
具体例がいくつか挙げられていたので紹介します。
状況によってどちらにもなりうるし、会社にはエージェンシー問題が内在するんだよという話です。
以下の2つが紹介されています。
いずれにしても、その問題の根源である『目的の不一致』と『情報の非対称性』を解消する組織デザインとルールを作ることが大事だよ、とのことでした。
プリンシパルがエージェントを監視する仕組みを組織に取り入れて、 情報の非対称性を解消する ことでエージェンシー問題をなんとかする話です。
具体的には・・・
あたりです。
いやーでも個人的にはモニタリングって名前がモチベ下がりそうな感じしててちょっとやだなーみたいなのはあるかも。
目的の不一致があったエージェントに、プリンシパルと同じ目的を達成させるデザイン・ルールを与え、 目的の不一致を解消する ことでエージェント問題をなんとかする話です。
具体的には・・・
あたりです。
個人的にはこっちの方が好きかも。
以下の点で問題出てくるかもよ?みたいな話。
企業組織の問題は複雑なので、自身でエージェンシー理論を思考の軸として考えていくことが大事だよーという話が紹介されています。
いやー確かにそうなんですけど、個人の感想として、 実際思考の軸として適用する際に、その解消法をデザインするところに結局スキルやセンスが必要そうだなあ、難しそうだなあという印象を持ちました。 まあそれが会社経営です、と言われたらそうですね・・・と言わざるを得ないんですけども・・・。
最後に同族企業の話が紹介されているのですが、 プリンシパルを主要株主の創業家、エージェントを婿養子の経営者とみることで、 婿養子として入ることで目的の不一致が解消され、婿養子の経営者はブレのない戦略が打ちやすいよ、的な話でした。 当然もっと細かく書籍には書いてあるので、詳しくはご自身でどうぞ。
精神論で解決するところから脱却しようぜ、っていうのは結構好きですね。
最近は○○しなきゃいけない、という気持ちになった時点で、「あっこれは負けてる・・・」と思うようにしていて、○○しなきゃいけないを○○したいという気持ちに変えられる何らかの仕組みを導入して、○○したいという気持ちに自然と変わったら「よし勝った・・・」と思うようにしてる
— ばうあー (@girigiribauer) February 2, 2020
僕も普段から精神的に頑張ってどうこうよりも、自然と○○したくなるような仕組み作りを頑張っていきたいと思っているので、 エージェンシー理論の思考の軸をあれこれ使わせてもらいながら、色んなところに適用しつつ考えてみたいと思います。
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