前回の 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第8章 ゲーム理論1 の続きを読んでいきます。
本章も前章の続きでゲーム理論の話です。
うーん、やはりどこからでも読める、というのは言い過ぎのような・・・w 少なくとも前章と本章は順に読んだ方がいいのではないかと思います。
「ここの理解少し間違ってるよ」などあれば、どしどしご指摘いただければと思います。
第9章はまとめるとこんな感じの内容でした。
たぶん本題に入る前の前提の話に相当するんだと思うんですが、 前章で紹介されていたのが同時ゲームで、今回紹介されているのが逐次ゲーム、 交互に意思決定をするケースでは、先手であるリーダーが有利な状況を作りうるよ、というのが、 前回からのペイオフ・マトリックスを使って紹介されています。
詳しくは触れませんが、同じペイオフ・マトリックスの表を用いたとしても、 ナッシュ均衡が変わってくる具体例が分かりやすく紹介されているので、追ってみると良いかと思います。
ここからが本編かな。
実際にはじゃんけんやチェスのようにルールに沿って同時ゲーム、逐次ゲームをやっているわけではなく、 経営をやっているので、 ゲームのルールは変えられる よ、というのが紹介されています。
前回の生産量をどうするか?の非協力ゲームにおいて、 A社が2020年内に「2021年は絶対に増産する!」と宣言してしまった場合、 B社にとっては増産することが必ずしもベストな戦略ではなく、現状維持を選んだ方がB社の利益はまだマシな状態です。
このように同時ゲームを逐次ゲームに変えてしまうことで、自社に有利な状況を生み出すことができる、という話です。
2種類の戦略について分類がされています。
数量を軸に競争するケースでは、リーダーが強気な戦略に出ることで(あるいは見せることで)、 フォロワーまで強気に出てしまうと供給過剰となってしまうため、それを避けようとする、 つまりは弱気な戦略に落ち着いてしまう。
価格を軸に競争するケースでは、リーダーが強気な戦略に出てしまうと、 フォロワーも強気に出ないと価格競争に破れてしまうので、強気に出ざるを得ない、 両社とも利益を失うことにつながってしまうので、実際にはリーダーは強気な戦略に出られず、 弱気な戦略に落ち着いてしまう。
このようなことが表を交えて紹介されています。
非協力ゲームであっても、 繰り返しが続くという想定においては、価格競争を続けていくのは不毛だとお互いが考える 力が働いてしまい、 談合していなくても価格競争をしない状況が続いてしまう、このことを フォーク定理 というそうです。
なるほど。
具体例として、アメリカのシリアル業界5社の例が紹介されています。 過去に一度だけ価格競争に陥った時期があるようなんですが、他企業も価格低下に追従せざるを得ず、 ベルトラン・パラドックス(前章)に陥って、5社とも大きく利益率を下げることになったんだそうな。 その戦略がまずいことが分かってすぐに価格維持の戦略に戻ったそうで。
この辺が、前章のまとめに個人的な感想に書いた部分の疑問の解消になってるのかなと思ったりしてます。 おそらく日本の携帯電話業界もそうなんでしょうね。
お互い価格を下げるのは合理的ではないし、向こうもそう思っているはず・・・と考えてしまうので、 結果価格競争をせずにずるずるきてしまっていると。なるほどなー。
このゲームのルールは変えられる、っていうのが、理論を研究してる人と、ちゃんと思考の軸として活用する人の違いになるんじゃないかなーと思うところです。 現実にはゲームやってるわけじゃなく経営やってるわけなので、 同時ゲームを逐次ゲームに変えて、リーダーとなって先に有利な状況作れるよ、みたいなのもうまく使えるといいですね。
余談ですけど、この最初に強気な戦略に出るように見せるっていうの、個人的にはジャックバウアーの戦略だなーと思うんですよねw 「銃を下ろせ!下ろさないとすぐに撃つ!」みたいなのを大声で矢継ぎ早に言うんですよ。
書籍にも、相手に『自分は絶対に引かない』ことを分からせる必要がある、って書かれていて、 あーこれ間違いなくジャックバウアーのことだわ、って思ったりw (絶対応用効かんけどw)
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