前回の 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第11章 カーネギー学派の企業行動理論(BTF) の続きを読んでいきます。
ここから先、認知心理学のターンになってきています。
序章にも少し書いてあったのですが、 第11章〜第17章がマクロ心理学、第18章〜第23章がミクロ心理学、にそれぞれ部が分かれています。
このマクロ・ミクロって何だろう?(元々の意味は概ね知ってる)と思って、 改めて序章を見返してみたところ、 マクロ心理学、ミクロ心理学っていうのがあるらしいですね。
マクロ心理学が組織を一つの単位としてとらえるのに対して、 ミクロ心理学は個人やチームなど、もっと小さい単位でとらえるようです。
ということは、今のターンからしばらくは組織論みたいな話が中心になってきそうってことですね。
本編の方にも本章から15章までイノベーションと組織学習に関する理論を紹介する、とあります。楽しみです。(やはり連続して読んだ方がいいのでは・・・w)
「ここの理解少し間違ってるよ」などあれば、どしどしご指摘いただければと思います。
第12章はまとめるとこんな感じの内容でした。
組織学習は、循環プロセスとして3つのサブプロセスのサイクルで説明できるよ、とされていて、 実際に簡易的な図で紹介されています。
前章でサーチ出てきましたが、次に出てきた 知の探索 は、この前章のサーチを内包するとされてます。 もうちょっと広い意味でサーチすることを 知の探索 というようですね。
ちなみに本章ではここのサーチの部分をより掘り下げた内容が紹介されています。
知の獲得には3種類のルートがあるよと紹介されています。
最後の代理経験は、書籍による擬似的な経験とかも入ってきそうですかね。 他の人が経験したことを書籍を通じて読むというのは、圧倒的にコスパが良いとも言われますし。
どうやら詳しくは別の章で紹介されてるようですが、 何らかの形で組織に記憶されなければ学習したことにはならないよ、とされてます。
まあ確かにそうですね・・・。
この組織学習のプロセスのうち、サーチの部分を掘り下げたものが 知の探索・知の深化 です。
まずここでも前提として、人の認知には限界があるよ、というのが(経済学視点と比較しても)重要なことだとされていて、 新しい知は、既存の知と別の既存の知の組み合わせ で生まれるので、 認知の範囲外にある知を探しに行って、既存の知と組み合わせる必要があるよ、とのことでした。
この辺は前章のサーチの話と概ね同じで、探すのにコストがかかるよという話だとかも概ね同じです。
一方で、その知の探索に対立した概念として、 知の深化 というものが提示されています。
これは、すでに知っていることをそのまま活用するなどして、知の探索を行わずに今あるもので何とかする、 さらにそれを掘り下げるといった行為に相当します。
知の探索は素晴らしい!だったら知の探索だけずっとすればいいじゃん!・・・となってしまうかもしれませんが、 実際にはアイデアの組み合わせで出来た新しいアイデアだけでは飯は食えなくて、 それを深掘りし収益化するところまで持っていく必要があります。
いやー、ちゃんとビジネスとして成り立ってる、っていうの、すごく大事ですよ・・・。 大事っていうか前提ですよね。飯食えなくなっちゃう。
この筆者は、両方使えることが大事、つまりは 両利き のような経営を目指すべき、としています。 どうやら次章にわたってこの両利きの話は続いているようなので、続きは次章ということで。
企業・組織はどうしても知の探索が怠りがちになってしまい、知の深化の方に系統しがちだよ、というのが、 大企業によくある『新規事業開発部』とか『イノベーション推進部』みたいな部署の顛末として紹介されています。
この『イノベーション推進部』みたいなのを聞くだけで、概ね「あー」と想像できてしまいそうですw
要するに、立ち上げ時には 知の探索を目指していた ものの、 会社として短期的な収益を考えてしまい、知の探索のコストから考えて、すでに結果が出ている既存の部署に予算を回しがちになってしまう。
つまりは 知の深化しか行われなくなる 、という流れで、これを コンピテンシー・トラップ と呼ぶそうです。
これはあるあるですねー。
この章ではコンピテンシー・トラップの状況のみがまずは紹介されていて、どうやったら両利きのバランスを取り戻すことができるかまでは紹介されていません。
たぶん精神論じゃない、具体的にこういう風に仕組み化していくことでこうなるよ、みたいなものが紹介されてるんじゃないかなあ、楽しみです。 続きは次章!という感じです。
ちなみにどうでもいいですが、知の探索って diff を取るという話にすごく近くて、 ますます「よーし diff を取っていくぞー!」と思う次第です。
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