前回の 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第19章 モチベーションの理論 の続きを読んでいきます。
これまで第2部、第3部と、人の認知には限界があるという前提であれこれ話を見てきたので、 その視点の話はだいぶ慣れてきたというか、 それを前提にしていなかった経済学視点の話ってけっこう使えるの限定的なのかな?って気がしてきました。
たぶんこの先の章で、それがさらに人間は合理的に動くとは限らない、みたいなルールが増えてカオスになっていくんですよねw
今回も1章ずつ読んでいきます。 「ここの理解少し間違ってるよ」などあれば、どしどしご指摘いただければと思います。
第20章はまとめるとこんな感じの内容でした。
人には認知の限界があるよ、という話が続いているので、 だいたいどういうことかは予想がつくのですが、以下のあたりに認知バイアスが存在するよ、とされています。
また、認知バイアスについては心理学において膨大な数の理論が打ち立てられているとあるので、 その辺とことん掘り下げたいなら、専門書読むといいよ、とも書いてあります。
さすがに素人にいきなり専門書は難易度高いので、認知バイアスについて専門書を紹介してありそうな一般書を読むくらいなら、 やってみてもいいのかもしれないですね。
経営学で特に重視されているのは、認知的な評価プロセスだとされています。 これを パフォーマンス・アプレイザル と呼ぶそうです。
パフォーマンス・アプレイザルの代表的なものが4つほど紹介されているので見てみます。
ちなみに他にも色々あるよ、と注釈にもありました。
何かに優れていると、他もすごいに違いないと思ってしまうことをハロー効果と呼ぶらしいです。
みたいなやつですね。
これはあるあるですねー。
簡単に思いつきやすい情報を優先的に引き出して頼ってしまうことを、利用可能性バイアスと呼ぶそうです。
これは、例えば現場で起きた問題を、何かと『担当者の責任論』にしたがる傾向のことを言うそうです。 対応バイアスといいます。
確率を過大評価してしまうことを代表制バイアスと呼ぶそうです。
関西人の例が紹介されていたものの、いまいちピンときてなかったり・・・。 とはいえ、確率に関して人間の認知バイアスは多分にあることは、頭では理解してるつもりではいます。
上の個人の認知バイアスに対して、組織に対する認知バイアスもあるよ、と紹介されています。
組織への帰属意識からくる認知バイアスのことのようです。
企業買収の例が載ってます。 新興国の企業が先進国の企業を買収した場合、平均よりも16%も高いプレミアムを払う、という傾向があるんだそうです。 これを社会アイデンティティ理論で以下のように説明しています。
人の認知には限界があるので、何らかの情報を使ってグルーピングして認知する傾向があるそうで、 このグループ分けによって同じグループの人に好印象を持つバイアス、イングループ・バイアスがあるんだそうです。
さらにこのイングループ・バイアスが、ダイバーシティ(多様性)経営の障壁となるよ、という話が併せて紹介されています。
まずダイバーシティには2種類あるよ、という話。
このような特徴から、ダイバーシティ経営では気をつけないと、安易に目に見えやすい形で分類が行われがちで、 それにより認知バイアスが生まれやすくなるよ、ということが、社会分類理論という認知バイアスとしてグーグルの事例を交えながら触れられています。
これがなかなか難しくて、バイアスを解消する手段について体型だった理論や知見が乏しい、と筆者は触れています。
上の社会分類理論のグーグルの例でも挙げられていたのですが、 社内で徹底してバイアスを取り除く研修を行うんだそうで。へー、やっぱそういう愚直な方法しかないんですかねー。
じゃあそんな認知バイアスを解消する方法はないの?というと、まだ理論とは呼べないかもしれないけどこんなのあるよ?として、 アテンション・ベースト・ビュー( Attension-Based View, ABV ) というものが紹介されています。
ざっくりいうと、経営メンバーの多様性が大事だとされていて、要するに同じ視点でたくさん集めるのではなく、 異なる視点の人たちが経営に関わることで、個人が持つ認知バイアスは解消されるのでは?という話ですね。
章末のコラムに載っていた話なのですが、 マインドフルネス を高めることで、バイアスなく周囲を見通せるようになるかもよ?という話が紹介されてました。
これは個人の範囲で認知バイアスを解消しようぜ、って話ではあるのですが、 コラムで紹介されていますし、経営学のマインドフルネス研究は始まったばかり、ともあるので、 ご自身でコラム読んでみるなり、別の書籍で掘り下げてみるなりしてみるといいんじゃないかと思います。
今回のやつは、後半の解消方法に若干乏しい感じがしますね。まあ人間だからしょうがないのかなw
認知バイアスが個人レベルで簡単に解消できるのなら、そう苦労はしないですよね。 とはいえ、認知バイアスにどういったものがあって、同じ状況で「あっこれ認知バイアスが働いているかも!」って気付けるだけでも、 物事を客観的に見られて良いのかもです。
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