前回の 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第21章 意思決定の理論 の続きを読んでいきます。
ようやく半分・・・読めました・・・!
全部で800ページなんですけど、この章の最初が397ページなので、ちょうど半分読んだところです。
いやー、すごく章ごとの内容が濃ゆいですね。 これ1日でまとめて読んでる人とか見かけますけど、僕にはとてもじゃないけど理解が追いつかないです。 最初は雑に章ごとに読みつつ、読書メモ載せられれば勉強のログになるかな、とか思ってたんですけど、 これくらいの分量をきちんと掘り下げて読む方が、結果的に身になっていいんじゃないかと、読んでて思いつつあります。
まあよくよく考えてみたら濃ゆいのも当たり前で、 各分野で人生かけて研究してる方々のエッセンスを、さわりだけとはいえ簡潔にまとめて分かりやすくしてくれてるわけで、 それをまとめて全部1日でまとめ読みしたところで理解できるわけないですよねw
さて今回も1章分をじっくり読んでいきます。 「ここの理解少し間違ってるよ」などあれば、どしどしご指摘いただければと思います。
第22章はまとめるとこんな感じの内容でした。
認知的に正しい意思決定をしたとしても、人は感情の生き物であるため、感情に大きく左右されるよ、と紹介されていて、 人の心理には認知の側面と感情の側面があって、脳内で不可分の関係にあるんじゃない?とされています。
その上で、感情の種類分けとして3つ挙げられています。
まあ、これらを包括する概念をアフェクト( affect )と呼ぶらしいです。
1つずつ、関連する理論も合わせて見ていきます。
一般に感情と呼ばれるのはこっちで、短時間で収まりやすいものを指します。
感情発生のメカニズムを説明する理論として、 感情イベント理論 が紹介されています。
外部刺激から始まって、認知評価を介して、分離感情の体験をして・・・みたいなフローチャートのような図が紹介されているのですが、 概ね以下の点だけ押さえておけばいいのかな?という印象です。
前章の意思決定の理論の範囲でも、近しい話が少し出てきましたが、 どうも人間はネガティブな情報に引きずられるように出来ているようですねw
心配性だとか怒りっぽいだとか、そういった個人に紐づいている比較的安定した感情のことを帰属感情と呼ぶようです。
さらに、おおまかにポジティブ感情( positive affect, PA )とネガティブ感情(negative affect, NA )に分けられるようで、 PAとNAの高さを指標と使っているのは、心理学者に留まらずセラピストなんかも広く使っているとのことです。
確かに一時の感情(分離感情)ではないので、計測しやすそうですね。
先ほどの感情イベント理論にて、認知評価を介して、のところをより掘り下げたのが 認知評価理論 です。 これもざっくりまとめると以下あたり?
うわー、こわいですね。大富豪・大貧民のカードゲームみたいです。 要するにネガティブな外部刺激を受け続けると、ネガティブに反応しやすい帰属感情になってしまって、さらにネガティブな外部刺激に反応して・・・みたいにサイクル回っちゃうってことですね。
こっちは個人ではなく、チーム・職場に定着するもので、いわゆる雰囲気に相当するものです。
以下の3つの特徴があるとされています。
さらに、感情伝播として以下があるよ、とされています。
ネガティブな感情を周囲から受け取れば、自分もネガティブになっちゃうようなことを指してます。なるほど。
この章、想像以上に学びが多かったので、長くなりがちですねw あくまで読書メモなので短めにいきます。
PA、NAが影響する法則として、筆者視点で主に6つあるよと紹介されてます。
ここで面白いのが、ポジティブがすべて善!ネガティブがすべて悪!とはなっていない点です。
例えば、法則4のネガティブ感情は、満足度を下げるのでサーチを促す、っていうの、 人・組織の気持ちを引き締める効果があるので、一概にダメともいえず、 逆にポジティブな感情は満足度を高めてしまうので、満足して気が緩んでしまうことにもなりかねないです。
この辺のバランス難しいみたいな話が、ファーストリテイリングの柳井氏の例を挙げて紹介されているのですが、
「僕が真剣にアドバイスすると、受け取る方は『叱られている』と錯覚する。 その人のことを思ってアドバイスしているんだけど、相手は心を閉ざしていて、拒否してしまうんだよね。 だから相手が心を閉ざさないように、楽しく明るくやらないといけない。それは経営者の役割です」
一定そのまま引用してしまいましたが、これはあるあるですね・・・。
ポジティブ・ネガティブの双方にメリット・デメリットがあって、 適切なバランスが求められるので、そのメカニズムを思考の軸として理解しておくといいよ、と紹介されてます。
これって、少し精神論っぽくなっちゃうんですけど、自分に厳しく他人にやさしく、みたいなことを言ってたりするんでしょうか。 うーん、人間は複雑だ・・・。
ここでまとめてもいいんですけど、こっちも面白かったので山盛りになっちゃいますがメモ残します。
簡易的にまとめちゃうと、ここでは感情をコントロールする理論として、 感情ディスプレー と 感情労働理論 が紹介されています。
前者の感情ディスプレーは、感情の表現者が笑顔を作るなどのポジティブ表現をすることで、顧客の笑顔も増える、的な話なんですが、 意図的な感情作りは心理的な負担を生じさせたり、鬱状態になったり、あるいは上辺だけの表現は見抜けちゃったりと懐疑的な主張もあるよ 、とされています。
一方で、後者の感情労働理論では、この感情ディスプレーを2つ分けて捉えたうえで、 その中の ディープアクティング で 感情そのものを自分が表現したい方向に変化させてから、それに合わせて自然に感情表現することで心理負担を下げる といったものが紹介されてます。
ここでは、ある航空会社のキャビンアテンダントの顧客クレームの事例が挙げられてました。
なるほど。 これも前章のフレーミング効果に考え方が若干近いのかもしれませんね。 見るところを自らずらすことで心理のコントロールを図るみたいなところは共通してそうです。
今回のやつは、『この事態は、別の角度からはこう解釈できるのではないか』などと考えることで、 視点をずらして自分の感情を変化させるという手法?のようです。
なんていうか、読む前は精神論に近い話(とはいえ経営学の書籍なので一定理論としてまとめるのかな?)くらいに思ってたんですけど、 まず最初に感情の定義や分類から入って・・・ってところが、もう学問だなって感じしますね。
最後の方にも書いてあったんですけど、もはや感情は精神論ではない、とか、理論的科学的にとらえ、マネジメントできる時代になりつつある、などとも書かれていて、 ある意味感情も込みでマネジメントできる仕組みとかを考えていく時代なんだなーと思ったのでした。
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