読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第23章 センスメイキング理論

前回の 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第22章 感情の理論 の続きを読んでいきます。

今回で第3部、ミクロ心理学ディシプリンの最後です。 ちなみに前回で半分読破してます。

第2部のマクロ心理学のターンに続いて、個人にフォーカスした話が多かったですが、 これが中々面白くてこのターンも苦労なく読めてしまっています。 (とはいえ、読んでから読書メモとしてまとめるのは一定大変ではあるのですが・・・)

この次の第4部は社会学視点の話のようで、 SNS 周りの話もおそらく出てくると思うので、こちらはこちらで楽しみです。

「ここの理解少し間違ってるよ」などあれば、どしどしご指摘いただければと思います。

『第23章 センスメイキング理論』の概要

第23章はまとめるとこんな感じの内容でした。

  • センスメイキングは納得、腹落ち のこと、不確実性の高い世界において、 解釈の多義性を減らして足並みを揃える ためのもの
    • 筆者的には、現在の日本の大手・中堅企業に最も欠けていて、最も必要な理論
  • センスメイキングの循環プロセス3つ
    • 環境の感知( scanning )
      • センスメイキングは、新しかったり、予期しなかったり、混乱的だったり、先行きが見通しにくい環境下で重要となる
      • まさに今日本企業が直面している状況
    • 解釈・意味付け( interpretation )
      • 人の解釈によって、この世界は意味合いが多様になる、多義的になる
      • 大まかな方向性だけ示して、意味付けして、ストーリーとして語るの大事
    • 行動・行為( enactment )
      • むしろ行動から始まる、行動して新しい情報を感知し、足並みを揃えていく
  • センスメイキング理論で、冷静に考えたら不可能なことを、思い込みにより実現してしまうことを セルフ・フルフィリング という

センスメイキング理論

センスメイキング( sensemaking )というワード、経営学の学術論文の中の4000以上で使われている単語らしいです。 人気なんですかね?

日本語では納得、腹落ちのことだと紹介されています。

ざっくり説明になりますが、不確実性の高い世界で足並みを揃えて行動することがセンスメイキングだと、個人的に理解しています。

これだとざっくりすぎるので、センスメイキングの循環プロセスが3つあって、それをクルクル回すところからみていきますね。

  1. 環境の感知( scanning )
  2. 解釈・意味付け( interpretation )
  3. 行動・行為( enactment )

プロセス1: 環境の感知

センスメイキングは、 新しかったり、予期しなかったり、混乱的だったり、先行きが見通しにくい環境下で重要 となるものだとされています。

  • 危機的な状況
    • 例: 市場の大幅な低迷
    • 例: 企業スキャンダル
  • アイデンティティへの脅威
    • 例: 自社の強みが陳腐化して、この会社はそもそもどうしていけばいいのか、と考えてしまう状況
  • 意図的な変化
    • 例: 新事業創造
    • 例: イノベーション投資

具体的にこんなものと直面したときに、センスメイキングは重要なので使っていこうぜってことなんだと思います。 ここまででよく出てきた、不確実性の高い世界、とも言えるのかもしれませんね。

次でも詳しく触れていますが、こういう時って大抵足並みがバラバラになりがちな時なので、 そういう時に 足並みを揃える理論 だよ、って理解でいいのかなと思ってます。

プロセス2: 解釈・意味付け

多義性という言葉が使われていますが、 同じ環境でも感知された周囲の環境をどう解釈するかによって、意味合いが人によって異なる ので、 意味合いが多様になるよ、多義的だよと説明されてます。

この多義的な状況において、解釈・意味付けを行って足並みを揃えるのがこのターンですが、 ポイントとなりそうなのが以下あたりかなと思います。

  • リーダーは、多様な解釈の中から特定のものを選別する、方向性を示す
  • リーダーは、意味づけしてストーリーとして語る、ストーリー性を持たせる
  • 正確性は重要じゃなく、納得性の方が大事

この章の一番最初に、ハンガリー軍がアルプス山脈の雪山で遭難する例が紹介されていたのですが、 ここでは隊員の一人がポケットから地図を見つけて、みんなが落ち着きを取り戻して下山を決意し、実際に雪山を降りることに成功したものの、 改めて地図をみてみたら、アルプス山脈の地図じゃなくてピレネー山脈の地図だった、的な話があり、ここにも正確性よりも納得性のが大事だよ、みたいな話をみることができます。

これは面白い話ですね。(死ぬかどうかの瀬戸際なので面白いと言っていいのか怪しい面はありますが・・・)

ここでのセンスメイキングの話は、地図によって得られる情報よりも、 地図を持っていて、それによって下山できるという目星がついた、腹落ちした、というところのが大事だったということですね。

他にもストーリーを語るというところで、日本電産やソニーの事例が紹介されているので、ご自身で読んでみると良いかと思います。

プロセス3: 行動・行為

プロセスとしては3つ目なんですけど、センスメイキング理論では行動こそが大事で、 むしろ行動から始まるよ、とされています。

環境に行動をもって働きかけることを イナクトメント( enactment ) というらしいです。 ( en + act + ment で合ってますかね?)

認知バイアスの1つではあるものの、思い込みにより実現してしまうセンスメイキング

センスメイキング理論で、冷静に考えたら不可能なことを、思い込みにより実現してしまうことを セルフ・フルフィリング というようです。

さらに、このセルフ・フルフィリングというのは、なんと認知バイアスの1つらしいです。

  • 例: 1970年代のオイルショック
    • トイレットペーパーの在庫は十分にあった
    • 石油価格が上がると、トイレットペーパーがなくなると多くの人が思い込む
    • 買い占めに走り、トイレットペーパーが実際になくなる 

これは社会現象の例ですが、ビジネスにも当てはめられるよとあります。

ストーリーを語りセンスメイキングを高めて足並みを揃えることで、 客観的に見れば起き得ないようなことも、社会現象として起こせる、つまりは未来を作り出すことができるよ、と紹介されてます。

ここで事例として紹介されていたのが孫正義氏で、ヤフー・ジャパンの立ち上げとか Yahoo!BB の普及とか、 これは紹介せずともすでに多くの場所で紹介されている話なので、この辺にしておきます。

センスメイキングの7大要素

最後にここだけ。

あまり文章で触れられていなかったのですが、図表としてセンスメイキングの7大要素が紹介されていたのでメモ。

  • アイデンティティ
  • 回想・振り返り
  • 行為(エナクトメント)
  • 社会性
  • 継続性
  • 環境情報の部分的感知
  • 説得性・納得性

これが多義的な世界になる中でリーダーに求められること、だそうで。

部分部分は上でも出てきたやつですね。 例えば最後のやつなんかは、正確性よりも説得性を持って自身や他社をセンスメイキングできる、とあります。

あと回想・振り返りのところなんかは、人は物事を経験しているその瞬間にはセンスメイクできず、 事後的に振り返ることでのみセンスメイクできる、っていうのも面白いなあと思います。

まとめ

  • 多義的な世界で足並みを揃える、未来を作り出す理論がセンスメイキング理論

最初に大手・中堅企業で最も必要、とあったんですけど、逆にいえばこのセンスメイキング理論でやってることって、 まさしくスタートアップの考え方そのものなのかな?と思わなくもないです。 (そんなことは書いてなかったけど、あながち間違ってない気がします)

ここで足並みを揃えるのは経営者と投資家って感じでしょうか? ストーリーを語って夢を魅せて、経営者と投資家で足並みを揃えて事業を作っていく、まさにスタートアップな気がします。

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