前回の 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第27章 ソーシャルキャピタル理論 の続きを読んでいきます。
実際ビジネス上で起きている問題に対して、この書籍に書いてあることを引用しながら、 これはこういう問題なので、こう考えたらいいのでは、ってあたりの引用が出来たらいいなと思うのですが、 ちょっとずつではありますけど、「あっそういえば今のこの話、ここに書いてあった・・・!」みたいなのが出てきました。
まだまだ思考の軸として使えているレベルには程遠いとは思いますけど、 現実問題が実はこういう名前、現象だった、みたいに紐付けができるだけでも、客観的に物事を見ることができてありがたいですね。
今日も1章ずつです。
「ここの理解少し間違ってるよ」などあれば、どしどしご指摘いただければと思います。
第28章はまとめるとこんな感じの内容でした。
前章までは人と人との関係性の話だったんですが、これは一種の社会の話だといえそうです。 一方で今回は制度の話です。言われてみると、制度も社会の話といえばそうですね。
ここでは、組織制度、社会制度、ビジネス慣習などのメカニズムの話を制度理論と呼んでいるようで、 さらに社会学ベースと経済学ベースの話がそれぞれあるようなんですけど、経営学で用いられるのは前者の社会学ベースの方なんだそうで。
つまりは人が合理的な行動をとらないケース、埋め込まれたつながりの話ですね。
埋め込まれたつながりってなんだっけ?ってところで、第24章よりまた引っ張ってきます。
from 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第24章 エンベッドネス理論
ここの真ん中のやつが合理性で動かない、 合理性よりも正当性で行動する というのが今回の話の前提です。
いわゆる「他社がやっているから」「社会的風潮だから」みたいな、心理的メカニズムの話がここから続きます。
社会的な正当性のことをレディマシー( legitimacy )というらしいのですが、 このレディマシーが通用する範囲、つまりは フィールドにおいて同質化プレッシャーのメカニズムが働き 、 段々と常識が形成されていき、同質化していっちゃうこと、この 同質化プロセスをアイソモーフィズム というそうです。
ステージ1から3まで、3段階あるらしいです。
フィールドごとに同質化するので、フィールドが異なればその常識も異なってくるよ、というのが、 日本とアメリカのビジネス慣習みたいなのを例に紹介されてます。
日本では新卒は概ね4月採用、初めて会う相手と名刺交換するといったことに対して、 アメリカでは通年採用、名刺交換しないと、いったものも、フィールドで同質化が進んでいった結果だと紹介されています。
これ、日本人が得意なやつですよねーw
3種類あるようです。
埋め込まれたつながりにおいては、合理性よりもこういった正当性で動いてしまうケースがあって、 それが上記のような3種類の圧力によってもたらされる、これらの圧力によって同質化プロセスが進んでしまう、ということのようです。
あー、これはなんというかあるあるですねー。 事例を書こうと思えばいくらでも書けそうな気がします。
ここでは大きく国という単位のフィールドで、賄賂に寛容な国と厳しい国といった事例が紹介されています。
先進国では賄賂をしないことが空気のような常識である一方、 新興市場では賄賂は空気のような常識となっていて、 それぞれ別のフィールドで生まれた異なる常識なのですが、このあたりがレジティマシーの衝突になっていて、 これを 制度の重複 と呼ぶそうです。
国の例として挙げられていますが、たぶん国単位じゃなくてももっと小さいフィールドでも同様のことはありそうですね。
知りたいのは対処の仕方ですが、筆者からはいまも世界の経営学者によって多くの研究が生み出されている、とあって、 おそらく理論としては固まりきっていない段階なのだろうと思われますが、 それでも筆者視点で2点紹介されています。
1つは非市場戦略として、いわゆるロビー活動や CSR 活動で、政府に働きかけるといった動きをとる話です。 フェイスブックの事例が紹介されているのですが、どんどん社内に政府・司法分野の人間を取り込んでいってるみたいです。
もう1つが インスティチューショナル・アントレプレナー と呼ばれる変革プレーヤーになることだと紹介されています。
さてさて、長いカタカナワードが出てきましたが、さすがにちょっと掘り下げて見てみないとよく分からないですw
ざっくり言ってしまうと変革者?のような意味合いのワードのようですが、 そもそもアントレプレナー( entrepreneur )が企業家とほぼイコールの意味で良かったですよね。 インスティチューショナル( institutional )は制度・慣習あたりでいいんでしょうか。 これ、直訳すると既存の制度・慣習に対する企業家、みたいな感じですかね?
さてさて、話が少し逸れてしまいましたが、制度の重複にどうやって立ち向かえばいいかについて、 筆者なりの3つの圧力への抗い方、あたりがまとめてあるのでメモ。
アイソモーフィズムを促す3種類の同質化プレッシャー、というのは一定研究で明らかになっているのだから、 逆に言えばそうならないように行動すればいいじゃん、というのが事例から見て取れますね。
モーニングピッチの話は以前から少し聞いたことがあったのですが、 最初は運営10人登壇2人の規模だったところから、地道に啓蒙活動されてきたんですね。すごい。
最後の最後に3つしかないよ、と書かれています。
規範的圧力や模範的圧力については、地道な活動が必要そうですね。
何も考えない、っていうのが一番あかんと思うので、 同質化の圧力をきちんと把握したうえで、従う方がメリットがあるならそうすればいいし、 抗うことで新たな事業への近道になるならそうすればいいのかな、って印象です。
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