読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第30章 組織エコロジー理論

前回の 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第29章 資源依存理論 の続きを読んでいきます。

ここから3章分は、社会学の中でもエコロジーベースの話、生態学周りの話だそうで。

そもそも生態学よく分かってないんですけど、 どうやら生物と環境の間の相互作用を研究する分野らしいです。へー。

ここもいまいちよく分かってないところなんですけど、 社会学を研究している人が、生態学を参考にしてるってことなんでしょうか? ということは、今回はさらに経営学を研究してる人が、社会学を参考にして、さらにその人が間接的に生態学を参考にしてる、ってことなんですかね?よく分からないw)

まあいいか、使えそうなところがあれば学び取っていければいいかなと。

「ここの理解少し間違ってるよ」などあれば、どしどしご指摘いただければと思います。

『第30章 組織エコロジー理論』の概要

第30章はまとめるとこんな感じの内容でした。

  • 生態学からの 組織エコロジー理論 (総称)の話3つ
  • 密度依存理論 、業界全体の企業密度が企業の生き死にを決める話
    • 業界の生態系、以下の4つのゾーンで説明される
      • 業界が生まれて(ゾーンA)
      • レジティマシー(市民権)を得て成長(ゾーンB)
      • 業界の個体数が最大になり(ゾーンC)
      • 資源競争になり死亡率が急激に上がる(ゾーンD)
    • レジティマシー効果 、ゾーンBで市民権を獲得し始めると、その業界内への参入が増えて企業の誕生率が上がり、市民権を得るがゆえに死亡率が下がる
    • 密度効果 、生態学で個体数が多くなればエサなどの資源が減るので、死亡率が増える、密度によって誕生率・死亡率が変わる
  • 年齢依存仮説 、若い企業ほど死にやすい、年を取るほどレジティマシー(社会的正当性、市民権)を得やすく生き残りやすい(という仮説)
    • 一方で年老いた企業の方が環境変化に対応できず死ぬ、という長寿の重荷仮説もある、環境変化のスピード次第かも
  • 捕食範囲の理論 、ゼネラリスト、スペシャリストで分けたときに、ゼネラリストの競合度が高まるほどスペシャリスト企業の死亡率が下がる
  • メガトレンドを持つの大事 、生態系の変化と同様に数十年単位で先を見据えて、これからレジティマシーが高まる事業領域に投資していく

組織エコロジー理論の話

どうやら組織エコロジーは総称らしく、大きく8つの派生分野に分かれているらしいです。 一応本書において8つ紹介されていたのですが、そこまで興味が惹かれないので、全体で共有されているという前提3つだけ触れておきます。

  • 企業の本質は変化しない、認知に限界があるし、制度理論の話から常識として広まってからなかなか変わるのは難しい
  • 自然選択、企業が変化するよりは、多様な企業があり、淘汰されることで生き残っていく
  • 超長期視点、長い目でその業界を見ていく

ここの2つ目はまさに生物って感じしますね。

この章ではそのたくさんある派生的なところから、大きく3つ紹介されているので、順に見てみます。

密度依存理論

2つメカニズムが働いてるよ、と紹介されているのですが、 その話を理解するためにも、業界が生まれて死んでいくまでに大きく4つのゾーンに分かれているよ、という話を理解した方がいいかもしれません。

  • 業界が生まれて(ゾーンA)
  • レジティマシー(市民権)を得て成長(ゾーンB)
  • 業界の個体数が最大になり(ゾーンC)
  • 資源競争になり死亡率が急激に上がる(ゾーンD)

アメリカでの新聞業界の例で触れられていたのですが、 19世紀半ばに一般大衆向けの新聞が出回り始めてから(ゾーンA)、 新聞が市民権を獲得し始めて(ゾーンB)、 多くの企業家が新聞業界に参入するようになった(ゾーンC)、という流れが紹介されてます。

これってたぶん、いわゆるブルーオーシャン、レッドオーシャンと言われるやつですよね。 レッドオーシャンがまさにここでいうゾーンDに相当するのかなと。

ここでは二つのメカニズムが働いているよ、というのが併せて紹介されています。

  • レジティマシー効果
    • ゾーンBで市民権を獲得し始めると、その業界内への参入が増えて企業の誕生率が上がり、市民権を得るがゆえに死亡率が下がる
  • 密度効果
    • 生態学で個体数が多くなればエサなどの資源が減るので、死亡率が増える、密度によって誕生率・死亡率が変わる

他にもここでは料理レシピサイトの具体例が紹介されてます。 クックパッドはゾーンAのタイミングで創業したのですが、 始めたころはまだネット回線も遅くて市民権を得られなかったものの、 そのうち写真も上げやすくなり市民権を得て、利用者が爆発的に増えていった、という話です。

ゾーンCからDにかけて参入が競合サービスがどんどん増えてるのはすごく理解できますね。

年齢依存仮説

これ、仮説なんですね。

実際、若い企業ほど死にやすい仮説と紹介されているわけではなくて、年齢に依存するかもよ?(若者、年寄り、どちらとは言っていない) みたいな感じです。

  • 若い企業ほど死にやすい、年を取るほどレジティマシー(社会的正当性、市民権)を得やすく生き残りやすい
  • 年老いた企業の方が環境変化に対応できず死ぬ

筆者的には環境変化のスピードのせいでは?と触れられています。

捕食範囲の理論

生態系で、なんでも食べる生物(例: どんな草でも食べるバッタ)と、特殊なエサしか食べない生物(例: アブラナ科の植物しか食べないモンシロチョウ)がいて、 同じようにビジネスに応用したうえで、 多くの顧客を相手にするマス市場と、特定の顧客だけに絞るニッチ市場の、どちらを狙ったら良いか?という話の参考になるよ(意訳)、というのが捕食範囲の理論です。

うーん、なるほど?

メガトレンドを持つの大事

組織エコロジーの理論の前提として、

  • 超長期視点、長い目でその業界を見ていく

というのがありました。

業界も生まれてから死ぬまでの長期間の視点で見るのが前提となっているようで、 だからこそ数十年単位で先を見据えていく必要があるよ、 メガトレンドの視点 が必要だよ、と最後に紹介されています。

シーメンスという企業の例が紹介されているのですが、 情報通信や自動車部品から早々に撤退し、 今はエネルギー、工業部品、ヘルスケアなどが主力となっているそうです。 さらにこの先にゾーンA、Bの業界に早めに投資するために、社内でメガトレンドの視点を徹底的に揃えていっているそうで。

シーメンス社が想定するメガトレンドには以下のようなものがあるそうです。

  • 2050年に退職者が10億人増加する
  • 2050年に発展途上国、新興国の人口は30億人増加する
  • 2035年までにデジタルの処理速度は1000倍になる
  • 経済システムがこのまま続くならば、2050年までに3つの地球分の資源が必要となる

ほえー、確かにこの辺前提としつつ、新たな業界に投資していくのと、全く考えずにガムシャラに動いていくのとでは全然違いそうですね。

まとめ

  • 自分が属する業界で、長期的に見たときに今がどのゾーンか知るの大事
  • 新たな業界に投資していく際は、長期的に見てどのゾーンか考えるの大事

密度依存理論周りの話はすごく理解はできたんですけど、 なんだかそれ以外の理論・仮説はあまりピンとこない感ありましたね。

たぶん企業は変化しないっていうのを前提としているところが、そもそもなんか若干噛み合ってない感は個人的に感じました。 マクロ視点で淘汰・生き残りをベースにした話だと、個々の学習、アップデートの話にはなってこないので、 そういう意味であまり参考にならないのかなあという気もします。

とはいえ、業界研究においては一定参考になりそうかなという感じがします。

もし記事内に誤りなどございましたら、 @girigiribauer までご一報いただけると助かります。