読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第37章 アントレプレナーシップと経営理論
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前回の 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第36章 グローバル経営と経営理論 の続きを読んでいきます。
ちなみに毎回、 「ここの理解少し間違ってるよ」などあれば、どしどしご指摘いただければと思います。 って書いてはいるんですけど、特に「ここ間違ってますー」とか言われたことは無いので、 まあ書籍を読んでいる人で、なおかつこの記事を読んでいる人はいないんだろうと思われますねw
書籍の方にも書いてあったんですけど、思考の軸が自分の中に持てればオッケーだと自分でも思うので、 紹介されてる理論についての把握が正確かどうかはあんまり気にしてません。 (ちゃんと理解したいならきっと論文読めよって話になるでしょうし、そこまでの気力は無かったり)
それでは今回も1章分ずつ読んでいきますね。
「ここの理解少し間違ってるよ」などあれば、どしどしご指摘いただければと思います。
『第37章 アントレプレナーシップと経営理論』の概要
第37章はまとめるとこんな感じの内容でした。
- アントレプレナーとは、新結合(既存知と既存知の新しい組み合わせ)を実行する人 、つまりはイノベーションを起こす人のこと
- 起業はアントレプレナーとなるための重要な一手段
- とはいえ、一般にイメージする起業活動も、 スタートアップ・アントレプレナーシップ と呼ばれてここでは研究されている
- アントレプレナーシップに固有の経営理論は存在しない、今まで出てきた経営理論で十分
- 未来のアントレプレナーシップの領域4つ
- インターナショナル・アントレプレナーシップ(国際アントレ)
- 急速に多国籍化する企業が増えている、取引のコストが下がっている
- ソーシャル・アントレプレナーシップ(社会アントレ)
- 社会的・公共的な目的を優先して設立されたスタートアップ企業
- インスティチューショナル・アントレプレナーシップ(制度アントレ)
- 制度改革を、国ではなく企業が率先して行う
- イントラプレナーシップ(大企業アントレ)
- 大企業内で起業家のように振舞う人材を増やしたりする
- インターナショナル・アントレプレナーシップ(国際アントレ)
- 事業機会とは何かが論争になっている、その中での事業機会の型2つ
- 発見型 、起業家と事業機会は独立した存在なので、事業機会が生まれた後、起業家はそれを発見する
- 創造型 、起業家が行動を起こすことで事業機会がつくられ、後になって認知される
- 発見型は伝えることが容易だが、創造型は暗黙知が多く感じてもらうことが重要 、これからは 発見型に加えて創造型が求められる
アントレプレナーシップとは
アントレプレナー( entrepreneur )が起業家って意味だということをつい最近知ったのでした。 英単語として覚えたときに、妙に綴りが難しいなあと思ったのを覚えています・・・。
アントレプレナーとは、新結合(既存知と既存知の新しい組み合わせ)を実行する人 のことで、 つまりはイノベーションを起こす人のことと言ってしまって良いんじゃないかと思います。
ここでは、起業することはあくまで手段とされていて、 筆者は誤解を恐れずに言えばと言いつつも、コンビニエンスストアのフランチャイズ店を経営するのは、 起業ではあっても、アントレプレナーシップではないよ、と触れています。
とはいえ、一般にイメージする起業活動も、 スタートアップ・アントレプレナーシップ と呼ばれてここでは研究されているそうで、 (長いのでアントレプレナーシップを単にアントレとも呼ぶようですね) 起業プロセスのすべてがスタートアップ・アントレの研究対象なんだそうです。へー。
ちなみに、ヒト・カネ・コトの3種類で色々整理されて紹介されているのですが、 結構今まで出てきた話とかぶりそうだったので端折ってしまいますね。
ポイントは・・・
- 不確実性が高い
- 属人的な要素が入りやすい
あたりでしょうか?
未来のアントレプレナーシップの領域4つ
アントレプレナーシップ方面で、今後どういう変化が起きるかというと、 今まで無縁と思われてきたプレーヤーにも、アントレプレナーシップが浸透 していき、 新たなアントレプレナーシップの領域が広がっていくよ、ということだそうです。
それが以下の4つ。
- インターナショナル・アントレプレナーシップ(国際アントレ)
- 急速に多国籍化する企業が増えている、取引のコストが下がっている
- 英語が話せてコードが書けるグローバルタレントは、世界中で採用できる(わかる)
- 例: シリコンバレー・スタートアップ企業として注目されているドライブモード社も、優秀なエンジニア獲得のために東新宿に拠点を構える
- ソーシャル・アントレプレナーシップ(社会アントレ)
- 社会的・公共的な目的を優先して設立されたスタートアップ企業
- 元々は NPO が占有していた領域
- 例: 世界ではグラミン銀行、日本ではマザーハウス、五常・アンド・カンパニーなど
- インスティチューショナル・アントレプレナーシップ(制度アントレ)
- 制度改革を、国ではなく企業が率先して行う
- 社会学ベースの制度理論(第28章)で出てきたように、常識を破壊し、塗り替える
- イントラプレナーシップ(大企業アントレ)
- 大企業内で起業家のように振舞う人材を増やしたりする
- 大企業にイノベーションと創造的破壊が求められているため
- 例: 日本ではスープストックトーキョー、ゲーム・チェンジャー・カタパルトなどが有名
へー、知らない事例もあったので、自分で少し掘り下げて見てみようかな・・・。
ドライブモード社 https://drivemode.com/
なるほど、シリコンバレーから東京へオフィス構えにきてるんですね。
マザーハウス https://www.mother-house.jp/
社会アントレの例ですね。 やりたいことは明確だとキャッチも分かりやすいです。
五常・アンド・カンパニー http://gojo.co/ja/
同じく社会アントレの例。 なるほど、金融周りの格差を無くしたい的な感じでしょうか。キャッチコピー分かりやすい。
スープストックトーキョー https://www.soup-stock-tokyo.com/
大企業アントレの例で、遠山正道さんという方が三菱商事在社中に立ち上げたらしいです。 在社中ってどういうことなの・・・相当エネルギーないと難しそうなイメージです。
ゲーム・チェンジャー・カタパルト https://gccatapult.panasonic.com/
こちらも大企業アントレの最近の例。 パナソニックの事例のようです。企業内でこういうことできるのはすごいですね・・・。
事業機会とは何か?
この章の最後に、事業機会とは何か?って話が書いてあるのですが、 この事業機会とは何かが論争になっているそうです。
その中での事業機会の型が2つ紹介されていて、どっちなの?みたいな話になっているらしいので、2つ紹介します。
- 発見型 、起業家と事業機会は独立した存在なので、事業機会が生まれた後、起業家はそれを発見する
- 創造型 、起業家が行動を起こすことで事業機会がつくられ、後になって認知される
うーん・・・これは答え出るのかなw
ただ、筆者からはこの区分けに大きな刺激を受けたと言っていて、 発見型は伝えることが容易だが、創造型は暗黙知が多く感じてもらうことが重要 で、 前者は学校なんかでも教えることは容易にできる系のものなんだけど、 後者の方はセンスメイキング理論(第23章)のように腹落ちしてもらわないといけない類のものなので、 これからは 発見型に加えて創造型が求められる んじゃないか、というまとめがされてました。
まとめ
- アントレプレナーとは、新結合(既存知と既存知の新しい組み合わせ)を実行する人のことで、アントレプレナーシップはどんどん広がってきている
- やっぱり既存の知と既存の知を組み合わせること大事
この章のアントレプレナーシップについての理論は、まあ現状こうなってるのねーくらいの認識でいいのかなーとか思いながら読んでました。 というのも、今までの理論で説明されてる部分が多いとのことだったので。
ただ事例はものすごく面白いですし、こういうの常にアンテナ張ってないといけないなーと思うところです。 いくつかはたぶん経済番組で見た記憶あるんだけどな。 僕も遠くの知をどんどん探しにいきたいと思います。
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