前回の 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第10章 リアル・オプション理論 の続きを読んでいきます。
第1部が前回までで終了したのですが、その一番最後に 次の第2部では、『組織学習』『知識経営』『イノベーション』等の本質に切り込む と書いてありました。
これはちょっと楽しみかもしれませんね。
本章にて読み進めていく中で、途中に出てきたこの図、めっちゃ好きです。
同じように1章ずつ読み進めていくので、 「ここの理解少し間違ってるよ」などあれば、どしどしご指摘いただければと思います。
第11章はまとめるとこんな感じの内容でした。
タイトルに『カーネギー学派』とあるのですが、もちろん僕は全然知りません。
どうやら人間、認知は無限に可能じゃないっぽいぞ?ってところから、 以下の限定された合理性を前提にして考えようぜ、って集まりの人たちらしいです。
企業行動理論(Behavioral Theory of Firm: BTF) とは、 組織意思決定の循環プロセスモデル のことで、 ざっくり言ってしまうと、認知には限界があるので、その中で満足できる選択肢を選んで、認知を広げて、 また同じように満足できる選択肢を選ぶのをサイクル回そうぜ、みたいな感じですかね。
ここではその循環プロセスで重要な概念が2つ紹介されています。
自分の認知は限界があり狭いので、 この世にはもっと自分を満足させてくれる選択肢があるのでは?と考えて探しにいく行為です。
これ自体はどうやら掘り下げ甲斐があるようなので、別の章でたっぷり紹介されているようです。 ここでは概念だけ把握しておきます。
目の前の目標、といってもいいかもしれません。
経営学では、アスピレーションは以下から計算されることが多いとされています。
確かにこれらがよければ、自分は自社はもっとできるはず、って考えますね。
満足度が低ければサーチする傾向がある、ということの逆として、 満足度が高まればサーチしなくなる、ということも循環プロセスの図から紹介されています。
著名経営者の中にも、成功体験こそ最大のリスク、と言っている方は多く、 そういった教訓のようなものも、この企業行動理論から説明できるよ、と紹介されています。
また、循環プロセスの派生版みたいなものや、企業行動理論の中心的なものの紹介など、 著名経営者の言葉とともにいくつか紹介されていますが、 ここでは省略したいと思います。面白いのでご自身で読んでみるのも良いかと思います。
一見すると経営者が経験から学んだような言葉も、 ちゃんと認知心理学に基づいて経営学として理論で説明できているのが面白いなあと思います。
サイバーエージェントの藤田氏の例が挙げられていたのですが、 目線を上げるために、目線もパフォーマンスも自分より高い人たちと交流することで、 自身のアスピレーションを引き上げているのでは?と触れられています。
アスピレーションは『自分のパフォーマンスが他社よりも悪い』時に上がるので、 そういった状況を意識的に取り入れることで、自身のサーチ行動を促しているのかもしれません。なるほど。
周りの IT エンジニアさんもたまに言ってるんですけど、 会社の中で自分が一番できない状況に常に身を置け、みたいなことを話されている方もいらっしゃいますね。 これは決して精神論ではなく、自身のサーチ行動を広げるために仕組み化していった結果かもしれませんね。
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