前回の 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第12章 知の探索・知の深化の理論1 の続きを読んでいきます。
この辺の話、正直面白いです・・・。
概要を端的に書いちゃってるけどめちゃめちゃ面白い章でした。 さっさと本編入ります。
「ここの理解少し間違ってるよ」などあれば、どしどしご指摘いただければと思います。
第13章はまとめるとこんな感じの内容でした。
前章において知の探索と知の深化に分けて考える話、 短期的な利益を考えていくと、知の深化だけに落ち着いちゃう話などが出てきました。
そこで両利きどう維持すんの?みたいな話が、戦略・組織・個人レベルと粒度の異なるものが色々と紹介されてます。
これはよくあるやつなんですが、大企業がスタートアップ企業に投資する話ですね。
企業がスタートアップ企業などと組んで新しい知を生み出すことを オープン・イノベーション戦略 と呼び、 大企業が VC (ベンチャー・キャピタル)的に動いてスタートアップ企業に投資することを CVC 投資 といいます。
大体想像はつきますが、
このようにお互い足りないところを補う関係性を作るやつです。
それに対して、この本では日本独自の知の探索の動きも出てきているよ、と紹介されています。
前提として、 知は外に探すものではなく、大企業の内部に埋もれている状態にある 、と仮説を立てて、 逆に大企業の中にいる人材を外のスタートアップ企業に送り出して、 知の探索を加速させてあげよう、という仕組みです。
なるほどー。
ここでは、 WiL という VC 企業を例にして紹介されていたのですが、 ソニーと合弁会社を作って、そこにソニー本体から人材を送り出してもらったり、 経済産業省と連携して、大企業の若手などをシリコンバレーに送り込むなどしたりと、 人材を外に送り出す動きが行われているそうな。
これもよく聞く話で、会社内に完全に別部署を作ってしまい、 独立性を持たせて知の探索を積極的に行わせるようにする部隊を作っちゃうやつですね。
大事なポイントとして以下が挙げられています。
特に評価制度は大事だよと筆者は触れていて、 既存事業と同じ評価制度を使っていると、失敗を遅れてしまい、 知の探索を続けることは難しくなってしまうと紹介しています。 分かります。
これは個人レベルのやつです。 自分一人の範囲での多様性を持つことを イントラパーソナル・ダイバーシティ というらしいです。
近年になって経営学で実証研究が進んでいるようで、 個人で様々な職業を経験してきた人が多いところほど、業績が高い傾向があるらしいです。
これもしかすると、副業(複業?)とかもそういうのを促進する側面もあるのかも・・・?
どこまで探索すればいいの?問題にも、思考の軸としてこんなのがいいんじゃない?として、 興味深い研究とともに紹介されてます。
この結果を追試した研究を筆者は知らない、と断りが入れてあるものの、 経営者として見たときには、結局ビジネスとして価値に変えていかなければならないので、 つまり可能な限り広く、遠くの知までを探索する必要があるんじゃない?とされています。
ゴーゴーカレーの創業者社長である宮森さんの座右の銘が紹介されていたのですが、 『 創造性は移動距離に比例する 』というの、まさに広範囲の知を探索すべしっていうのを体現してるようですごくいい言葉だなって思います。
あともう一つ、 WiL 創業者の伊佐山さんの話も紹介されていて、 「変化を起こすには、まず何をすればいいか」の質問に対して、 「 まずは今日、あなたが帰る時に降りる駅を、一つ変えましょう 」と答えたそうな。良い diff の話だ・・・。
これに近いことは僕自身もすごく考えたことがあって、 やりたいことが見つからない学生の相談に乗ったときに近しいことを思ったりした経験があって、 読んでてすごく共感してます。要するに diff ですよ。
もうこれしかないでしょw
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