前回の 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第15章 組織の知識創造理論(SECIモデル) の続きを読んでいきます。
ついこの前、知識の創造に関する前回の章を読んだ後に、たまたまそれを思考の軸として活用する機会があって、 「なるほど、今問題となっているのは暗黙知の共有とか、形式知化できてないとか、そういうことなんだ!」と、 すごく納得することがありました。
その場で解決に至らなかったとしても、 なんというか数学の公式のようなもので、これってこういうことなのね、と客観的に見られるようになるだけでも、 すごく考えやすくなるなあという印象です。
会社に限らず、複数人で何かやるときなどに、こういうマクロ心理学をベースにした経営理論って使えそうだなあと思います。
今日も1章分読んでいきます。 「ここの理解少し間違ってるよ」などあれば、どしどしご指摘いただければと思います。
第16章はまとめるとこんな感じの内容でした。
みんながよく知ってるルーティンの意味と、表層的には同じだよ、とされてますが、 組織・集団によって繰り返される行動パターン である点と、 状況の変化によって変わることもある行動パターン でもあるよ、 とこの2点が特徴として触れられています。
もしかすると後者のやつが、なんとなくイメージしているルーティンとはちょっと違うのかな?という気がしてしまうかもですが、 (個人的な習慣という意味とは少し異なってきますね) 先にルーティンの特性についてみてみます。
ルーティンは進化するのですが、進化する例は後にしつつ、 そもそもルーティンの特性ってどんななの?というのが3つ挙げられてます。
たぶんこの3つがうまい方向に転がればメリットにもなるし、ダメな方に転がればデメリットにもなるよ、という感じじゃないかと思います。
良品計画の事例が紹介されているのですが、良品計画のマニュアルは MUJIGRAM と呼ばれていて、 ここでいう進化理論のルーティン、進化するルーティンを体現している例だよ、とされています。
マニュアルを常に見直す、ということがルーティン化されて、マニュアル自体も形式知として活用されていく、 このように進化のためのルーティンが醸成されているよ、というのが進化理論でいうルーティン、のようです。
https://diamond.jp/articles/-/218448?page=2
この本を出してるダイヤモンド社さんの記事があったのですが、なんかすごいですね・・・。
無印良品の店舗ではどのように商品を陳列すればいいのか、その方法はMUJIGRAMに書いてある。衣類のたたみ方、並べ方などが簡潔な文章と写真で分かりやすく説明されている。
これをただ作っただけでは意味がなくて、ちゃんとアップデートすることを前提としたマニュアル作り、ルーティンになっていることが、 ここの進化理論でいうルーティンのようです。すごい。
ルーティンの特性の1つとして、放っておくと硬直化しちゃうよ、というのがありました。 ルーティンの硬直化、またはこれを イナーシア と呼ぶそうです。
どうなるとルーティンが硬直化するかが、いくつか理由を挙げられています。
なるほどー。
つまりルーティンを硬直化させないためにはこの逆、 適切な頻度で、時にイレギュラーな行動パターンを織り交ぜ、性急に結果を求めない、ことが重要になるよ、と触れてます。
特に最後にはあるあるですかねー。
アメリカの新聞業界の例が挙げられていたのですが、 新たに IT 化の波が押し寄せた時に、経営資源(リソース)の割り振りは行ったものの、 ルーティン、仕事の仕方、プロセスはそのまま持ってきてしまったがゆえに、ルーティンが硬直化 してしまって、苦境に陥ったのでは?との見方がされています。
こういう変化の大きいときには、時には ルーティンを全部ゼロから作り直す 覚悟が必要だと紹介されてます。
確かに、こういったルーティンの特性をきちんと把握した上で、適切にルーティンの活用をしていかないと、 状況によっては毒にも薬にもなりそうです。
良品企画の MUJIGRAM の例、いいですね。
そもそもマニュアルは社員やスタッフの行動を制限するためにつくっているのではありません。 むしろ、マニュアルをつくり上げるプロセスが重要で
ここ好きです。 アップデートのプロセスまで含めてのルーティン化、良いですね。
何らか定型的な作業をルーティン化したいと思ったときに、ルーティンの思考の軸として参考にしていければいいなと思います。
この記事は書かれてから1年以上が経過しており、最新の情報とは異なる可能性があります