読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第31章 エコロジーベースの進化理論

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前回の 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第30章 組織エコロジー理論 の続きを読んでいきます。

読書するだけなら15分、 記事としてまとめるのにトータルで2時間ほどかかるのですが、 (そのうち、概要の箇条書きを書くだけで半分くらい使ってそうw) これが WordPress とかの CMS だったらもうちょっと余分に時間かかってただろうなあと思うところです。

CMS ではなく、静的サイトジェネレーター(Golang で書かれた Hugo ってやつ)を使って、 手元の好きなテキストエディタで書きつつ、毎回手元からパブリッシュしてるだけなので、 すごく管理に負担がかからずに公開対応出来ているので助かります。

やはり定型的な作業を、できるだけ負担少なくなるように作業フローを見直すっていうの、重要ですね。 (この辺の話は、またどこか別の機会で掘り下げてまとめ直したい・・・) 連続して投稿する際は、如何にして自身の書くところ以外の負担を減らしてあげられるか?を大事にしたいところです。

このままこの話続けると Biz のカテゴリーじゃなくなっちゃうのでこの辺で・・・。

今日もさくさく読んでメモしていきます。 「ここの理解少し間違ってるよ」などあれば、どしどしご指摘いただければと思います。

『第31章 エコロジーベースの進化理論』の概要

第31章はまとめるとこんな感じの内容でした。

  • 生態学から見た 進化理論 の話
    • 多様化( Variation )、選択( Selection )、維持( Retention )、苦闘( Struggle )の VSRS メカニズム
    • 企業の生き死にのマクロ視点だけではなく、ミクロ視点で 企業内の人材や情報などの様々なリソースが進化理論の対象 となる
  • 企業の人材採用とホモフィリー効果について
    • ホモフィリー効果とは 人はそもそも本質的に同じタイプの人を好み、同じ人とつながりやすい傾向にある ことをいう
    • 企業の初期段階では足並みを揃えるのに有効で、社会的正当性を獲得するには不可欠
    • 一方でそのまま放置すると、 同質な人が同質な人を選ぶというプロセスが繰り返され、極度に組織の同質化が進む 、 VRSR における苦闘の段階となる
  • 企業は生まれた瞬間から硬直化が進むが、 共進化 を取り込むことで進化することが可能
    • 企業に限らず業界と学界、国や都市レベルの交流でダイナミックな共進化が起きている

エコロジーベースの進化理論の話

やっぱり僕は、マクロ視点よりもミクロ視点の話の方が好きなのかもしれません。 応用が効きやすいんですかねー?

第16章で認知科学ベースの進化理論という話が出てきましたが、今16章を振り返ってみても、 あまり進化の話って感じがしなかったので正直ピンときてなかったりするんですよね。

from 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第16章 認知心理学ベースの進化理論

なんていうか、ルーティン周りの話で、組織としての知をどのように進化?させるかって話で、 環境が急激に変化しちゃうときに、ルーティンが硬直しちゃう話は、まあ確かに言われてみると進化の話だなと、 振り返ってみて少し思うところがあるかな、くらいです。あまり進化を意識してなかったですかね。

VRSR メカニズムとは

この辺はまさに進化理論の肝ですかね。

  • 多様化( Variation )
    • 生態学のベースとして、生まれたらもう基本的には変化はしないよ、という考え方がベースにある
  • 選択( Selection )
    • 自然環境にフィットするかどうかで生き死にが決まる、フィットしない種は淘汰されて、フィットしたものだけが生き残る
  • 維持( Retention )
    • 生存競争を勝ち抜き、子孫を残す
  • 苦闘( Struggle )
    • やがて環境が変化し、以前からフィットしていた生物も対応できずに淘汰される
    • 一方で突然変異により新しくフィットできる種が生き残り、代わって繁栄する

概ね分かります。

ここで大事なのは、 ビジネスにおいては企業組織が最小単位ではない 、という点ですね。

今までの話の流れだと、いろんな企業が生まれて、環境に適応した企業が残ってあとは淘汰されて、みたいな話でしょ? と思いがち(僕も最初はそういう話なのかなと)だったんですけど、 企業には様々なリソースがあり、その組み合わせ方が企業の個性を形作っていくよ、と筆者は触れています。

なので、ここで対象になるのは企業の生き死にのマクロ視点だけではなく、 もっとミクロ視点での 企業内の人材や情報などの様々なリソースが進化理論の対象 となるようです。

ここでは、特に人材と情報が大事だ、という話が具体事例交えて紹介されているので、 このまま人材について見ていきます。

企業内の人材における進化の流れ、 VSRS のメカニズム

企業の内部の人材にフォーカスして見てみると、 VSRS メカニズムが働いているよ、という話です。

スタートアップの創業してからの事例が紹介されてます。時系列で見ていきます。

  • 創業当初
    • 人材確保が容易でないため、様々な経験、知見、価値観を持った人材が寄せ集め状態
    • 多様化( Variation )に相当
  • 人材選択
    • 周辺社会からの正当性を得るために人材が選抜されていく
    • あるいは同じ特性を持った人で群れる、 ホモフィリー効果
    • 選択( Selection )に相当

もちろんこのあと維持、苦闘と続いていくわけですが、 この選択のターンで大きく2つの理由で選抜が行われているよ、と紹介されています。

1つが前章にもあった、ゾーンAからゾーンBに移るところの話で、社会的な正当性を得るところに相当する話ですね。 例として会計に強い人を連れてきたり、すでに成功した経営者を取締役に迎えたり、といったあたりがそれのようです。

もう1つがホモフィリー効果と呼ばれているもので、 人はそもそも本質的に同じタイプの人を好み、同じ人とつながりやすい傾向にある ことをいうそうです。

なるほどー。 これ、多くの実証研究でホモフィリーの傾向は強く支持されている、とあるので、 人間ってそういうものなんでしょうかね。

ちなみに、ここではホモフィリー効果が悪だと言っているわけではなく、 社会的正当性を得るまでのターンでは必要だとされています。

一方でこれをそのまま放置すると、 同質な人が同質な人を選ぶというプロセスが繰り返され、極度に組織の同質化が進む ので、 視野、考え、情報の幅が狭くなって、環境の変化に対応できなくなっちゃうよ、と触れられています。

VSRS のメカニズムで硬直化してしまうのを、共進化で乗り越える話

これまでは現状のメカニズムがこうなっていて、このままだとこんな感じになっちゃうよ、という現状の理解についての話でしたが、 ここからが面白い話ですね。乗り越え方の話です。

この 共進化 という話。生態系の花と昆虫でこんな事例があるよというのが紹介されてます。

  • ツツジは色とりどりの花で目立つことができ、昆虫は紫外線をとらえることができる
  • ツツジは斑点で紫外線を吸収し、昆虫から見つけやすくするよう進化していく
  • 昆虫は紫外線の識別力を進化させていく

このように、単体ではなく複数における ダイナミックな相互作用で進化 していけばいいんじゃない?というのが共進化です。 なるほどー。

実際にビジネスでこんな共進化起きてるよ!(逆にここでは一方向だけで共進化起こせてないよ!)という事例がいくつか紹介されていたので、 箇条書きでまとめてみます。

  • 共進化のダイナミズムがうまくいっている例
    • 台湾のハイテク産業とシリコンバレーの人材交流
    • アメリカ西海岸とインド
  • 人材の流れが一方向にしか行っていない例
    • シリコンバレーへいく日本企業、逆にシリコンバレーの人材は日本に還流していない
    • 日本の機械メーカーが AI 人材を採用する話、逆に機械メーカーから AI 分野に人が流れていない

なるほど相互作用・・・。相互作用大事ですね。

特にアメリカ西海岸とインドの関係なんかは、アメリカ企業の CEO がインドの方だったり、 逆にインドで IT 周りが急成長してたりと、相互作用すごいです。

まとめ

  • VSRS のメカニズム大事、企業は成長するにつれて硬直化するという本質がある
  • 凝り固まったものは、共進化で一緒に進化していく

ここの章で、単に企業という単位に対して多様化、選択、維持・・・みたいな話が続くんであれば、 なんだつまんねーなーって思ったでしょうが、 やはりそこはビジネス、企業というのはリソースの組み合わせで変化しうるので、 その組み合わせ次第で頑張ればなんとかなるよ、と言ってくれてるところがなかなか良いですね。

あっそうそう、人材以外にも、情報に関しての進化の話も書いてあったのですが、 ここのメモでは全部すっ飛ばしているので、ぜひともご自身でどうぞ。 組織内における意思決定の選択・淘汰の話も響く人は多そうです。

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