前回の 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第32章 レッドクイーン理論 の続きを読んでいきます。
今回から第5部の、ビジネス事象と理論のマトリックス、というターンに入ります。
なんかこの第5部の最初の方に、 ハーバード・ビジネススクールではこんなカテゴリを学ぶけど、そのうち本書ではここを扱うよ、みたいなのが書いてあったので、 ここにもまとめてみます。
ほえー、経営って色々あるんですね・・・。
当方、経営に関してはど素人なので、まだピンときてるわけではないですが、 なんとなくここからの章では、この扱う事象にフォーカスした話になっていくのかな?って気がしてます。
またそれなりに過去の章で出てきた理論への参照も増えそうです。
それでは今日も1章ずつ読んでいきますね。 「ここの理解少し間違ってるよ」などあれば、どしどしご指摘いただければと思います。
第33章はまとめるとこんな感じの内容でした。
上の概要ではだいぶ端折りましたが、経営戦略のカテゴライズは以下のような形になっているそうです。
ここにある競争戦略、企業戦略、非市場戦略、戦略プランニングあたりが、次に紹介されているマトリックスの軸として挙げられているのですが、 加えてイノベーション・組織学習という項目も横に1つ追加されてます。
要するにどのような戦略(&イノベーション)を考えたいかによって、どの経営学における理論が使えるよ、みたいなのを表形式でまとめてあるので使ってね!って感じですかね。
この辺は実際に活用する際に自身で見ながら頭を使っていった方がいいでしょうし、 (でかい表はあまり載せたくないし、写真とってここに貼り付けるのも面倒だし) ここに載せるのはやめておきます。ぜひともご自身でどうぞ。
ビジネス環境の変化が圧倒的に激しくなってきていて、中々安定した競争優位の状況を作り出せなくなってきている中で、 戦略とイノベーションってそんな違わないんじゃない?むしろイノベーションそのものが戦略なのでは?というふうになってきているそうです。
確かに、新しい知というのは、既存の知と既存の知との掛け合わせで生まれる、的な話が第12章で紹介されてました。
from 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第12章 知の探索・知の深化の理論1
そういう意味では、さっきの経営戦略を考えるマトリックスに、組織学習・イノベーションっていう列が入ってないとおかしいですね。
とはいえ、このイノベーションに関する話って、認知心理学からくるものがほとんどで、 とはいえ経済学や社会学の視点からはあまり多くイノベーションに関しては扱われてないよ、と筆者は触れています。
ここで大手企業に関する時価総額と純利益の2軸で、企業ごとにどこに位置するか?の点グラフが紹介されていたのですが、 中国企業のアリババ、テンセントは、トヨタの純利益が190億ドルだったのに対して、それぞれ40億ドル、10億ドルにすぎないのに、 時価総額ではもうすでにトヨタを上回っている、 競争が質的に変化 してきてるよ、ということをグラフで示しながら紹介しています。
もちろんイーロン・マスクさんの例ももれなく紹介されてたんですけど、 ここまで期待感で煽ってくる競争に変わってきてるの、すごいなって思います・・・。
つまり、不確実性の高い世の中において、利益など過去の実績ベースの業績以上に、 どのような将来・未来を世界に対して生み出せるか?という期待感ベース の考え方の方がこれからは大事であって、 それに必要なのが認知心理学ディシプリンであれこれ紹介されていた、 イノベーション理論(第12,13章など)やリーダーシップ理論(第18章)、センスメイキング理論(第23章)あたりの考え方がものすごく重要になってくるよ、 と紹介されてます。なるほど。
センスメイキング理論なんか、まさにそれですもんね。
from 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第23章 センスメイキング理論
じゃあ経済学ディシプリンの話は古くて使えないのか?って言われたら、全然そんなことはないよって話も併せて紹介されてます。
一方で独占し利益を出すのも大事なので、 第1章のSCP理論に出てきたような、独占に寄せていくみたいな考え方は大事で、 これを競争の型(第4章)の話でも紹介されていた話でした。
ここでアマゾンの例が紹介されているのですが、 ECで独占を築いたあと(SCP理論)、その利益を様々な投資やR&Dに回し(イノベーション)、 新規事業の中から AWS が成功例として台頭し(SCP理論)、みたく内部でこのようなサイクルを循環させる企業が強いよ、と紹介しています。
つまりは 経済学ディシプリンと心理学ディシプリンのサイクルを内部で循環させる企業 こそが強く、 どっちの理論が使えるの?(経済学視点は古くて使えない)って話ではなくて、 両方組み合わせて使い、高次に内包することで強みになるよ、とのことでした。
第5部の最初の章を読んでみて、なんとなく分かってきましたよ・・・。 これ、「ここからが筆者のターン」ってやつですね。
今回のような話って、けっこうその3つの経済学、心理学、社会学を横断して見てみないと、 中々話としてしづらい部分なのかなって読んでて思ったんですけど、 まさにその横断してきたからこその話、つまりは筆者のターンなのかなと。 なるほど面白い・・・。
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