読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第38章 企業組織のあり方と経営理論

前回の 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第37章 アントレプレナーシップと経営理論 の続きを読んでいきます。

だいぶ終わりが近づいてきましたね。700ページを超えてあと残り100ページです。

今日も読んでいきます!

「ここの理解少し間違ってるよ」などあれば、どしどしご指摘いただければと思います。

『第38章 企業組織のあり方と経営理論』の概要

第38章はまとめるとこんな感じの内容でした。

  • 企業のあり方を規定する5(4+1)つのドライビングフォース
    • 効率性 、取引費用理論(第7章)における内製か外注かの議論、効率性を求める話
    • コンピタンス 、企業が持つ固有の強みのこと
    • パワー 、独占に近づけたり、相手の自社への依存度を高めたりすること
    • アイデンティティ 、アイデンティティを確立して求心力を高める
    • ネットワーク (筆者からの視点)、企業は人のネットワークの集合体で、企業の境界線がぼやけていく
  • 時代とともに変化するあるべき組織の姿は、 未来の組織の理念型であるティール組織の話と一致する
    • 中世: パワーの時代
    • 産業革命以後: 効率性の時代
    • 21世紀: 認知・アイデンティティとネットワーク中心性の時代
    • これからの未来: 中心のないネットワークの時代
      • これからは企業の永続性を前提としない組織、プロジェクトもありうる

企業のあり方について

うーん、なかなか今回はまとめるのが難しいですねw

まず企業のあり方については、本章にも書いてある通り、 取引費用理論にて大きく書いてあったのでした。

from 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第7章 取引費用理論(TCE)

ただ、企業のあり方というのは、この取引費用理論だけで説明できるものではなく、 他にも視点があるよ、とのことで、4つのドライビングフォースとしてまとめられつつ、 筆者からももう1つあるよ、とのことで、合計5つのドライビングフォースとして、視点が紹介されているのでした。

効率性

ここが取引費用理論で言われていた、 内製か外注かの議論、つまりは効率性を求める話です。

取引費用が下がると、同じ会社である必要がなくなってくるので、 ここで例に挙げられているソニーの半導体部門と金融部門を切り離した方がいいんじゃないか、みたいな話が、 投資家などから上がってきたりするのでした。

コンピタンス

企業が持つ固有の強みのことで、中でも重要なのが企業の経営資源、リソースだとされています。 つまりはリソース・ベースド・ビュー(第3章)の話だったり、リソースの組み合わせの話であるダイナミック・ケイパビリティ(第17章)の話だったりするわけですね。

さらには、企業をリアルオプションの集合体として考えるという視点、つまりはリアル・オプション(第10章)の話も強みづくりには関係してくるよね、 という話も紹介されています。

パワー

独占に近づけたり、相手の自社への依存度を高めたりすることで、 独占周りの話はSCP理論(第1章)だし、他社から自社への依存度を高めたり、逆に自社から他社への依存度を低くしたりの話は、 以前出てきた資源依存理論(第29章)の話でした。

アイデンティティ

企業はアイデンティティの集合体でもあるよ、とのことから、 アイデンティティという心理的なものも大事になる、つまりは心理学の分野が大事とされています。 中でも重要なものとして、センスメイキング理論(第23章)が挙げられています。 足並み揃えて夢語って腹落ちさせるやつですねw

さらには社会学ベースの制度理論(第28章)からもアイデンティティは説明できるとされています。

ネットワーク(筆者からの視点)

以上の4つがドライビングフォースとしてまとめられていたものなんですが、 さらに筆者視点で1つ加えられています。

企業は人のネットワークの集合体で、人が企業の範囲を超えて外部の他者とつながる機会が増えるので、 企業の境界線がぼやけていくよ、とのことでした。 このあたりは第24章から第27章で解説されてるよ、とのことです。

さて、この5つの企業のあり方をベースにして、未来の企業組織の姿はどのようになっていくかを見てみます。

時代とともに変化するあるべき組織の姿

未来の組織の理念型であるティール組織の話と一致する とされているのですが、 ティール組織、名前だけは聞いた事あるんですよね。

ここでは詳しくは掘り下げないようなんですけど、 4つの段階を経ていく流れも、上記のドライビングフォースで説明できちゃうよ、というのがここでの言いたいことのようです。

中世: パワーの時代

ティール組織でいうレッド組織に相当するそうです。

中世などで税を取り軍役を課す代わりに、そのパワーで市民の安全を守る、みたいなパワーの依存関係のことのようです。

産業革命以後: 効率性の時代

ティール組織でいうオレンジ組織に相当するそうです。

株式会社の制度が普及し、有限責任でダウンサイド(下振れ)しても責任が限られる反面、 アップサイド(上振れ)で企業が成功すれば利益がたくさん得られる、みたいなところで、 効率性を重視して経済的な飛躍をしていったよ、と触れられています。

21世紀: 認知・アイデンティティとネットワーク中心性の時代

ティール組織でいうグリーン組織に相当するそうです。

不確実性が高まっていて、どの企業もイノベーティブになって新しいものを生み出さないと生き残れないので、 「認知・アイデンティティ」と「ネットワーク」が大事になってきてるよ、とのことでした。

リーダーを中心として放射線状に人と人とがつながっている状態に近いので、 中心のはっきりとしたネットワークだとされています。

なるほど、だからこそリーダーシップが重要とか、そういう系の話になるんですかね。

これからの未来: 中心のないネットワークの時代

たぶんここが一番言いたいところだと思うんですが、 (上記流れに触れておかないとなかなか分からない) ここがティール組織に相当してくるよ、ということのようです。

ここでも、ネットワークと認知の組み合わせが重要になってくるよ、と触れられてはいるものの、 じゃあ何が上と違うのかというと、 いまよりもさらに組織を超えた人の流動が進み、ネットワークから中心がなくなっていく よ、 人が自律分散的に動く組織になる よ、とのことでした。

あー、これ18章のところにシェアード・リーダーシップって話がありましたね。 ここでは触れられてませんでしたが、第18章の方に全員がリーダーとして動くだとか、 アイデンティティを持ちやすくなるだとかの話がありました。これに近いのかな。

from 読書メモ: 世界標準の経営理論 - 第18章 リーダーシップの理論

もうすでにティール組織っぽい組織が台頭してきてるよ、というところで、 いくつか事例が紹介されていたのでメモ。

  • アルミ切削加工メーカーの HILLTOP
    • 油にまみれて一日中同じラインで働くのは、人のやることなのか?と疑問
    • 自動化、ノウハウのデータなど徹底的に押し進める
    • 従業員はデザイン・企画などのクリエイティブな仕事に専念、自身のやりたいクリエイティブなことを探し、自律的に動く

へーすごい。

確かに知の深化みたいなところは、とことん機械任せにしてしまって、 人間は知の探索に専念した方が理想的ではありますね。

組織の死について

資本主義社会では、企業は永続を目指すべき、という考え方があるので、 常に株主に対してリターンを還元し続けないといけないが、 ティール組織のように、人が組織のためではなく、自身がやりたいことベースで集まって仕事するならば、 プロジェクトが終われば解散してもいいはずだ、という組織の死に対する考え方も変わってくるんじゃない?と最後に触れられています。

クックパッドも最近になって「世界中のすべての家庭において、毎日の料理が楽しみになった時、当会社は解散する」という一文が書き加えられたそうな。

まとめ

  • これからは会社の境界線がぼやけていく、アイデンティティとネットワークが大事になってくる時代

まあ概ね以前から出てきた話の反復にはなってましたが、 なぜ会社を作るのか?会社で何をやりたいのか?を考えるには良いとっかかりになるかもしれません。

個人的には、今無理して会社である必要はなくなってきてると思うんですよね。 何か明確にやりたいことがあって、それに対して複数人でビジョンを共有して足並み揃えてやっていく必要があったとき、 初めて法人みたいなものを選択肢の1つとして考えればいいのかなって、そう思っていたりするので、 今回の話はそう離れていない話だったのかな、とも思います。

ティール組織って書籍、ベストセラーになっていたそうなんですが、 若干興味が出てきたので目次だけでもさらっと見てみようかな。

もし記事内に誤りなどございましたら、 @girigiribauer までご一報いただけると助かります。